Uberに学ぶ、UXの劇的改善から画期的な新サービスを生み出す方法

2016/08/12

Theo Miller

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UXの改善はサービスやアプリの改善だけではありません。もっと大きな視点で「公共交通機関のUXを改善する」と考えてみると、Uberのような世界を席巻する新サービスを生み出す可能性もあるのです。

Uber_NY_request-screenshot

カーステレオの音量を上げるときやTinderであれこれスワイプ操作をする場合、ユーザーインターフェイスはコントロールパネルやタッチスクリーン、ディスプレイに限られています。

しかし、ユーザーエクスペリエンス(UX)は違います。

スマートフォンはUXの概念を大きく広げることに成功しました。いま必要とされるサービスは、ポケットサイズのタッチスクリーンという制限を超え、UXの規模を拡大しています。

UberInstacartDoorDashなど、GPS追跡機能や現金不要の支払い方法を利用したサービスは次々と増えています。結果として、ユーザーとしてだけでなく人としての日常生活を変えつつあります。

Uberの功績とは?

公共交通機関は(ほとんどの場合)ひどいものです。決められた時間通りで融通は利かず、運賃を現金で払わなければならないというのに、座席がまったく残っていなかったりします。

従来のタクシーだってそれとあまり変わりません。公共交通機関と同じく、タクシーが来るのを待ったり現金で支払ったりしなければならず、そこまでしてようやく自分で運転しなくても良いという贅沢にありつけるのです。

しかし、Uberは従来型のタクシーの乗客のUXを分析・解決することによって、サービスの改善に成功しました。現在は相乗りサービスuberPOOLを立ち上げ、ほかの公共交通手段との競争に乗り出しています。

Uberはクレームをきちんとまとめて記録し、急速なグローバル展開により、クレーム処理が適切だったことを証明しました。

では、Uberは実際にどのようなUXの問題を解決し、成功したのでしょうか。

問題1:待ち時間

旅行前にタクシーを予約する場合、またはレストランでデザートが来る前にタクシー会社にこっそりと電話をする場合でも、配車を依頼して実際にタクシーに乗る過程というのは厄介なものでした。

道の真ん中に立って大量の車の中から空車タクシーを見つけるというのも、大変な時間の無駄で、心が折れそうになるほどです。

Uberはこの問題の解決にある技術を用いました。スマートフォンのGPS追跡機能で乗客とドライバーを結びつけるオンデマンド相乗りサービスソフトウェアを完成したのです。

乗客とドライバーは即座にマッチングされますが、例外もあります。Uberの効率性はモバイルアプリのUXではなく、市場の規制にも影響を受けます。

Surge pricing announcement

Uberが需要を適切に調整するため、ピーク時に価格を釣り上げる「Surge Pricing」は有名話です。もちろん乗客のほうはSurge Pricingに不満を感じるものの、この機能の役割は、需要を減らして空車を増やすことで利用可能な車を増やすことにもあります。

Surge Pricingが現在UberのPRにとって難問であり、今後も難問で有り続けることは間違いありません。過去にSurge Pricingによって被害を被ったユーザーはたしかにいるので、Surge Pricingの有効・無効にかかわらず乗客が乗車に同意する前に、Uber側で適正価格を表示するように近々移行する見通しです。

Uberの大量にデータに基づいて動くシステムは、あるルートと別のルートとを分析して効率的に乗客とのマッチングができています。相乗り機能(uberPool)は乗客側のコストを低くし、ネットワークの処理能力を上げ(待ち時間を短縮)、そして毎日の通勤中の人と人との触れ合いまで提供できるのです。

「昔ながらのタクシー」に同じサービスが提供できるでしょうか。技術的には「イエス」です。洗練されたデータサービスを開発しているタクシー会社は少なくありません。タクシー会社がデータを賢くクリエイティブに使うのはもはや本能ともいえるのではないでしょうか。その答えはまだ分かりませんが、私は疑って見ています。

Set Pickup Location

問題2:連絡

Motumbo confused - Zoolander -2001

大事な情報(クレジットカード番号や住所、時間、日付など)はきちんとチェックされた状態で伝えなければならないため、電話注文はなかなか大変です。

昔ながらのやり方で電話をかけて歯医者などを予約すると、「うーん、これで大丈夫だと思う…」といったいやな瞬間があります。予約時間はちゃんと聞き取れただろうか、向こうも時間を正しく書き留めただろうか、聞き間違いはないだろうかといった不安はいつまでたっても残るものです。

しかし、Uberアプリを使えば、予約情報などの保存や更新、共有が簡単にできます。もちろんほかのアプリサービス全般についても同じことが言えます。要するに、アプリならデータ管理の問題を解決できるということです。

問題3:道順

道順も痛いポイントです。運転手も人間ですので、慎重に指示を出して見守っていなければ出口を間違えることもあります。

一方、Uberの相乗りサービスではGPS機能を使うため、目的地に確実に到着できます。アプリ内で住所を入力するとそこまでの道順が運転手に伝わります。

また、それぞれ目的地の違う友人と相乗りしている際、行き先への道順を運転手に正しく伝えることが最優先となります。Uberなら目的地情報を運転手に送信し、乗客には必要に応じて次の目的地を追加するオプションがあるので安心です。

Uber payment function

問題4:支払方法

タクシー運転手の中にはいまだに現金での支払いを強制する人もいますが、Uberを使う場合はクレジットカードをその場に準備しておく必要はありません。

Uberではクレジットカード情報の保存だけでなく、スマートフォンからApplePayAndroid Payに自動的に接続もできます。現金を持ち歩く必要性はもはや終焉を迎えており、Uberはその兆候をさらに加速していると言えます。

Uberでは友人と運賃の割り勘もできます。そのため、Venmoなどサードパーティーのアプリを使う必要もありません。友人とのピリピリした駆け引きも減り、早くスムーズに下車できるようになります。

Uberの将来

Uberは深刻な問題を抱えていますが、きちんと向き合っています。現在Uberにとって深刻な問題の原因は人間の運転手で、乗客との契約に不満を言ったり、運賃を高くするよう要求したりしていることです。結束して自分たちの要求を通そうとする動きもあります。

しかし、戦略に長けているUberではすでに自動運転車を大量に用意し、路上での試運転を重ねているところです。

(原文:4 Ways Uber Wins UX by Killing Friction

[翻訳:加藤由佳]
[編集:Livit

Image:Alexey Boldin / Shutterstock.com

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Theo Miller

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Series BのFinTechスタートアップにおいてデザインやコーディング、制作チームのマネジメントをしました。この企業は2013年に初めてデザイン部門で人を募集し、従業員は6名から60名以上に増えたのです。デザインを通して複雑なパズルを解くことが大好きです。

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