美大生アパレル経営者はRPGマニア!? ハヤカワ五味さんに聞く趣味と仕事の関係

2017/04/17

小島芳樹

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デザインとエンジニアリング、デザインとビジネスなど、クリエイターにも従来の仕事の範囲を超えた知識と発想が求められる時代。連続インタビュー企画「Borderline」では、ブログ「テクニカルクリエイター.com」を運営する小島芳樹さんが、注目のクリエイターが日々どんなことを考えているのか? オン/オフの両面からお話を伺います。
第4回は、株式会社ウツワ代表取締役のハヤカワ五味さん。大学に通うかたわら、シンデレラバストの女の子のための下着ブランドを立ち上げ、経営者として活躍するハヤカワさんに、趣味のゲームと経営のこと、日々のライフスタイルついてお話いただきました。

小島 今回のゲストは株式会社ウツワ代表取締役で、feastのデザイナーとして活躍されているハヤカワ五味さんです。ハヤカワさんはお仕事をされながら学生もされているとのことですが、大学は多摩美(多摩美術大学)ですよね?

ハヤカワ はい。多摩美のグラフィックデザイン学科で、主に広告のデザイン、コミュニケーションデザインを学んでいます。

小島 大学は楽しいですか?

ハヤカワ ええ、楽しいですよ。

小島 僕が以前在籍していたデザイン会社では、多摩美生のインターンと一緒に仕事をしたり、産学協同に取り組んでいたりして、多摩美とは縁があるな、と勝手に思っているんですが。
大学の授業ではどんな作品を作っていますか?

ハヤカワ 最近だと……そうですね、ゲームの画面とか作っていましたね。例えば、これとか。

小島 ハヤカワさんは大学に通いながら会社を作って、いろいろなことに取り組んでいますよね。下着のブランド「feast」だけでなく、最近ではワンピースのブランド「ダブルチャカ」、オンラインメディア「LAVISH GIRL」も始めたとか。

ハヤカワさんが取り組んでいる事業

ハヤカワさんが取り組んでいる事業。左から、「feast」「ダブルチャカ」「LAVISH GIRL♡」

ハヤカワ 私は、コンプレックスを持っている人が「自分はコンプレックスとこう付き合いたい」と答えを出す、きっかけになりたいと思っているんです。そのために、もともとは痩せている女の子のための下着ブランドを立ち上げて、デザイナーとしてやってきたんですけど、それだけでは足りないのかも、と考えて。というのも、アパレルは今後、もっと価値観の提案、自分の生活や考え方を発信する手段になると見ているんですね。それなると必然的にメディアは必要になってくるだろうし、下着だけじゃなくてワンピースも……といった感じで、私の中では自然に発展してきたものなんです。

小島 ということは、まだまだやりたいことがたくさんありそうですね。

ハヤカワ はい。そういった価値観に自分なりにアプローチしていく手段をこれからも取っていきたいと思っています。

「なか卯」から始まるハヤカワ五味の1日

小島 会社に、学校に、と忙しそうですが、決まった1日のサイクルってありますか?

ハヤカワ五味さん

1995生まれの21歳。東京出身、多摩美術大学グラフィックデザイン学科3年/広告専攻、株式会社ウツワ 代表取締役。 高校1年生の頃からアクセサリー類の製作を始め、プリントタイツ類のデザイン、販売を受験の傍ら行う。大学入学直後にワンピース等の《GOMI HAYAKAWA》、2014年8月には妹ブランドにあたるランジェリーブランド《feast》を立ち上げ、2016年夏には累計販売枚数1万枚突破。

ハヤカワ 仕事がない日は必ず24時までには寝るようにしていて。朝はだいたい7時ごろには起きて、そのまま出社。なか卯で朝ご飯を食べてから。

小島 (笑)。

ハヤカワ なか卯で朝ご飯を食べようと決めたら、がんばって家を出られるんです。もともと朝ご飯をちゃんと食べるのが好きで以前は自炊していたんですけど、朝の時間にご飯を炊いたり味噌汁を作ったりするのが大変で。

小島 会社にはいつも何人ぐらいの方がいらっしゃるんですか?

ハヤカワ 基本的にはフルタイムが3人で、私は週2.5日います。私は営業も担当しているので、外に出ることも多くて。仕事が終わったら20時ぐらいには家に帰って、夕食はなるべく自炊しています。

小島 すばらしいですね。

ハヤカワ 自炊が好きで、それがストレス発散になっているので。仕事が詰まっているときも、1時間くらい料理をするとスッキリするんですよ。私の尊敬する人が、「スポーツは一種の瞑想だ」とおっしゃっていたんですけど、料理にも当てはまるな、と思っていて。

小島 料理中はほかのことを考えないから、頭がすっきりする、と。

ハヤカワ そうですね。だからやっぱり時間がないと、ストレスになると思っていて。寝る、料理する、運動する、という頭を空っぽにできるこの3つの時間はきっちり設けるようにしています。

小島 LAVISH GIRLを眺めてみたら、筋トレの記事が定期的に掲載されていますよね。しかもハヤカワさんの写真が。運動もお好きなんですか?

ハヤカワ はい、筋トレも好きですよ。夜、疲れていないとなかなか寝られないじゃないですか。寝られないのが本当に嫌なので、デスクワーク詰めの日は前後で5kmくらい散歩したり、毎週カポエラ習いに行ったり、予定がないオフの日には朝から体を動かして疲れるようにしていますね。

小島さん

自分の番組にあこがれのバンドメンバーが

小島 続いて、いつも持ち歩いているモノについてお聞きしているんですけど、今日はどんなモノを持ってきましたか?

ハヤカワ 必ず持ち歩いているのは歯ブラシぐらいなんですけど、このかばんはすごく気に入っていますね。いつも荷物が重くて、よくかばんを壊しちゃうんですけど、これは比較的長持ちしています。

小島 ハードな使い方にも耐える、頑丈なバッグなんですね。

ハヤカワ そう、すごく頑丈で。一澤帆布のかばんなんですけど、もともと帆船の帆の部分のための生地を使っていることもあって、すごく強いんですね。値段もそれほど高くなくて、ずっとタフに使っています。

小島   頑丈そうで使いやすそうですね…!

ハヤカワ五味さん

小島 それでは趣味について教えてください。昔からずっと好きなものとか、最近ハマっていることってありますか?

ハヤカワ 邦楽ロックバンドがすごく好きで。有名どころだと「マキシマム ザ ホルモン」(※)「神聖かまってちゃん」(※)とか。

小島 マキシマム ザ ホルモンが好きなんですか?

ハヤカワ すごく好きです。はまったのは中学生ぐらいのときだったのですが、ちょうどそのとき彼らが活動休止していて、ライブに行けなかったのが心残りだったりします。

小島 僕は『ぶっ生き返す』が出たころに、サマソニで見たことがあります。あのときのマキシマム ザ ホルモンはやばかったですね。

ハヤカワ 私も『ぶっ生き返す』あたりのアルバムはよく聴いていました。で、そこから神聖かまってちゃんとかも聴くようになったんです。初めて行ったライブは神聖かまってちゃんだったんですけど、最近、番組で共演する機会があって。

小島 ええ? うらやましい。

ハヤカワ AbemaTVで私がレギュラー出演している「アベプラ」という番組なんですけど、そこに2回来てくれて。それはもうよかったな、と(笑)。

小島 ゲストに来てくれたのは、ハヤカワさんのリクエストで?

ハヤカワ 私がすごく好きって言っていたから、ブッキングしてくれたのかな……? あと、彼らもネット配信しているので、相性がいいというのもあったと思います。2回目の共演では私の誕生日が近くて、誕生日の歌も歌ってもらいました。

小島 めちゃくちゃうらやましい!

ハヤカワ ありきたりな表現ですけど、そのときは「いろんな方に感謝だな」って思いましたね。

RPGが大好き。ほとんどのゲーム機を持っています

小島 もう少し趣味の話を聞かせてください。ゲームが好きと聞いていたんですが、今日持ってきていただいたのは、ゲームボーイ(※)

ゲームボーイ

ハヤカワ 最初期のモデルを改造したカスタムゲームボーイですね。誕生日にもらったものです。家庭用ゲーム機はほとんど全部持っているんですけど、これはかわいいので持ってきました。いまでも普通に遊べるんですよ。

小島 最初期というと、画面は白黒?

ハヤカワ そうです。私が子供のころはすでにゲームボーイといえばカラーだったんですけど。

小島 カラーモデルが出たのは僕が小学生のころだから、白黒のゲームボーイとなると相当古いなぁ。

ハヤカワ ちなみに、いまは『ドラゴンクエストI・II』が入っています。

小島 ゲームのジャンルとしてはPRGが好きなんですか?

ハヤカワ RPGですね。あとは、推理系のゲーム、特に『逆転裁判』(※)にはまっています。私、中学生のころからミステリー小説が好きで、当時から乙一さんや二宮敦人さんの作品をよく読んでいたんです。

小島 一番はまったゲームは?

ハヤカワ もともとはドラクエがすごく好き。あとは『マリオ&ルイージRPGシリーズ』(※)が鉄板で、『MOTHER』も好きですね。

小島 となると、王道のRPGタイトルはだいたい遊んでいますか?

ハヤカワ そうですね。で、もう絶対やばいなって思って案の定はまったのが『逆転裁判』でした。なぜ女子に人気なんだろう? と遊んでみたら、モーション数こそ少ないものの、キャラの魅力が絶妙に伝わるグラフィックで。

小島 逆転裁判ってノベル系のゲームなんだと思っていました。

ハヤカワ そうなんですけど、そこはカプコンが作っているゲームなんで、すごくキャラのモーションが研究されている。微妙な動きなのに生きてるように見えるというか……すごいですよ!

小島 これまでゲームをやってきたことがグラフィックデザインの勉強につながっていたりしますか?

ハヤカワ それはあります。もともとゲームが作りたくてグラフィックデザイナーを目指していましたし、小学校の卒業文集にも「キャラクターデザイナーになりたい」って書いていたぐらいですから。
でも、いまでは、どうやって戦略を立ててくかとか? どういう布陣で挑むか? といった、RPGゲームの基礎のほうが会社経営にすごく役に立っていますね。

小島 パーティの組み方が、チームビルディングの参考になるということですか?

ハヤカワ たとえば女神転生は、パーティに弱点があるとかなり攻略が厳しくて、お互いに弱点を補完できないと、すぐに全滅しちゃう。そう考えると、これはチームビルディングだな、と。
ドラクエだって、攻撃力が3上がる武器をいま買うのか、それとも2つ先の街で攻撃力が10上がる武器を買うのか、判断すべきポイントがあるじゃないですか。単純にすぐにお金を使って上げることもできるけど、「それはコスパが悪いな」と判断したり。
だからRPGは、意外と仕事に影響していると思いますね。

小島 逆転裁判以外の最近のおすすめは?

ハヤカワ あとは、ちょうど今年30周年を迎える『女神転生』ですね。

小島 女神転生はやったことがないなぁ。

ハヤカワ 宗教の話とかが好きならはまると思います。女神転生は結構ディープなゲームなので、ライトなほうだったら『ペルソナ』とかもいいですね。

小島 ペルソナもやるんですね?

ハヤカワ 去年出たペルソナ5を買ったんですけど、対応ハードがプレステ4なんですよ。据え置き型のゲームだと外で遊べないので、どうしても進まなくて。がんばりたいです!

RPGツクールでゲーム作りにもトライ

小島 ゲームを自分で作ったりはしないんですか?

ハヤカワ もうちょっとプライベートな時間に余裕ができたら、やってみたいとは思っています。

小島 ゲームを作る環境も一昔前よりもだいぶ手軽になってきていますし、プロデュースとかで関わるのもいいかもしれないですね。

ハヤカワ そうですね。いまはRPGツクールでちょこちょこ作ってはいるんですけど、最新の「RPGツクール MV」(※)だとiPhoneアプリも作れるんですよ。

RPGツクール

小島 え? RPGツクールってそんなに進化しているんですか?

ハヤカワ そう。ゲームの出力先(プラットフォーム)がすごく増えたのと、Macにも対応したので使いやすくなって。友だちにも結構使い始めている人がいますね。Webサイトなんだけどゲーム風にしたりとか、自由度が上がっていて、いろんな可能性があると思います。

小島 ゲーム開発といえばUnityぐらいしか追っていなかったから、RGPツクールがそんなに進化しているとはまったく知らなかったです。

ハヤカワ さすがにUnityまでは難しすぎ(笑)。もちろん、自由度は比べものにならないけど、RPGツクールならポチポチやっていけばできるので。

小島 一時期、ゲーム会社で働いたときにUnityに触ったことがあるんですけど、「これはダメだ! 自分はただのWebデザイナーでしかなかった」とて思って、そっちにいかなかったんですよ。

ハヤカワ Unityって独特ですもんね。できる方はすごいなと思います。

小島 プレステとか家庭用ゲームをあまりやらなかったこともあって、3Dの考え方についていけなくて。カメラの間隔と物体の位置を調整してどうやって見せるか、とか、作っている自分がどこにいるのかわからなくなる(笑)。

ハヤカワ オブジェクトはこっちでカメラはそこ、それにライトがあって地面があって……となると、いまどうなっているの? ってなりますもんね。

小島 で、「ここの影を消しましょう」って。「そこまでやってられるか!」みたいな(笑)。

ハヤカワ五味さん

(後編に続く)

[撮影:後藤利江]

KEYWORD

マキシマム ザ ホルモン(↑)
1998年に東京都で結成された4人組のロックバンド。2004年にメジャーデビュー。記事中に言及のある『ぶっ生き返す』は2007年に発売されたアルバム。サマソニ(サマーソニック)には2006〜2009年まで連続で出演している。
神聖かまってちゃん(↑)
2008年に千葉県で結成された4人組のロックバンド。ニコニコ生放送やYouTubeなどのネット配信で人気を集め、2010年にメジャーデビュー。5月に発売される新曲『夕暮れの鳥』はテレビアニメ『進撃の巨人 Season 2』のエンディングテーマに起用された。
ゲームボーイ(↑)
1989年に任天堂が発売した携帯ゲーム機。初代モデルは4階調モノクロ液晶を搭載し、解像度は160×144ドットであった。小型軽量化された「ポケット」やカラー化された「カラー」などのバリエーション、2001年に発売された後継の「ゲームボーイアドバンス」などと合わせると、全世界で2億台以上が販売された。
マリオ&ルイージRPGシリーズ(↑)
2003年に任天堂が発売したゲームボーイアドバンス用ソフト『マリオ&ルイージRPG』に始まるアクションRPGシリーズ。最新作は2015年発売のニンテンドー3DS用ソフト『マリオ&ルイージRPG ペーパーマリオMIX』。
逆転裁判(↑)
カプコンが開発・販売する人気アドベンチャーゲーム。主人公の弁護士を操り、裁判で無罪を勝ち取るゲームで、2001年に発売された初代タイトルから、現在「逆転裁判6」まで発売されている。コミック、小説、アニメ、ドラマ、舞台など、さまざまなメディアにも展開された。
RPGツクール(↑)
アスキー(現KADOKAWA)が1992年に発売したRPGゲーム制作ソフト。プログラミングを必要とせず、キャラクターやシナリオを設定していくだけでオリジナルのRPGゲームが作れる。パソコンソフト付き書籍からスタートし、家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機にも移植された。2015年に発売された「RPGツクールMV」はWindowsおよびMacOSで動作する。

小島芳樹

小島芳樹

ソーシャルゲームやUIデザインの会社にてWebデザイナー・フロントエンドエンジニア・ディレクターを経て、現在は都内のIT企業で企画やアライアンスを担当。2016年より「エンジニア」+「デザイナー」=「テクニカルクリエイター」のためのWebメディア「テクニカルクリエイター.com」を立ち上げ、IT・Web技術やデザインについての最新トレンドを発信している。 最近の趣味は水泳、トライアスロンへの出場を目指して練習中。

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