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中小企業のコンテンツマーケが大手キュレーションサイトにSEOで対抗する方法

2016年11月29日 04時00分更新

文●Maria Lopez

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検索ニーズの高いキーワードを含む長文×大量のページを生成してGoogle上位表示を独占している大手キュレーションサイトが話題になっています。中小企業のコンテンツマーケティングが対抗するには「ローカル検索」を最適化しましょう。

Content Marketing Instituteによると、コンテンツマーケティングは「価値ある、関連性の高い、一貫性のあるコンテンツの作成と提供に重点を置き、明確に定義された顧客層を引きつけ、維持し、最終的には収益性の高いカスタマー行動を推進することに重点を置く戦略的なマーケティング手法」です。

SEOとまったく同じとは言えませんが、この2つは密接に関連しています。グーグルのパンダアップデートもあったので、検索結果で上位に入りたいと考えている場合、高品質なコンテンツを作成する必要があるのです。

検索エンジンの検索結果で、中小企業が大企業に対抗するのは一見大変そうです。しかし、幸いにも、大企業と戦い、実際に優位に立てる部分があります。それが、ローカルな検索結果です。

ピジョンアップデートのあと、検索ユーザーがローカルに関するキーワードを使っている場合、Googleはローカル企業を優先して表示するようにしています。この記事では、Webサイトをローカルな検索結果で上位に表示し、ブランド認知度や売上を上げるすばらしいコンテンツの作成方法を紹介します。

ローカル・キーワードリサーチ

ターゲットとするキーワードを見つける

これまでのSEO対策と同様に、ローカル・コンテンツマーケティングはローカル・キーワードリサーチから始めます。優先的なキーワードを一通り考えることをスタート地点とします。優先的なキーワードを自分のWebサイトが取り扱うさまざまな話題、提供する製品やサービスのカテゴリ、ビジネスの概要説明と考えてください。たとえば、ボストン地区にある屋外スイミングプールを販売している企業の場合、以下のような話題が考えられます。

  • 販売用屋外スイミングプール
  • 屋外スイミングプール設置
  • 屋外スイミングプールのメンテナンス
  • 屋外スイミングプールの清掃

1つ1つの話題についてブレインストーミングします。キーワードのローカライズはここから始まります。各キーワードの末尾に地理的な情報を付加します。付加するとき、カスタマー層を考えます。自社のサービスを検索する場合、どのように検索する可能性があるでしょうか。自社のプール清掃に関する話題では以下のようなキーワードがローカルなキーワードになります。

  • プール清掃 ボストン
  • 屋外プール清掃 マサチューセッツ
  • ボストン プールフィルター
  • 自動プール清掃 ボストン
  • ロボットプール清掃 マサチューセッツ東部

ターゲットとする場所が分からない場合、(アクセス解析の)ロケーション分析レポートを確認し、企業規模によっては州や都市、大都市でフィルターをかけます。トラフィックが多いところが需要がもっともある場所です。

キーワードリサーチの補助ツールはたくさんあります。Google AdwordsBing Adsはどちらもキーワードプランナーツールを備えています。一通り思いついたキーワードを入力するか、または、キーワードアドバイス無料ツールのUbersuggestなどからキーワードをエキスポートした場合は、.csvファイルとしてアップロードします。ターゲットにするキーワードをもっと見つけたいなら、新しいキーワードを検索します。もしくは、検索数やデータトレンドに関する情報の入手を選択します。

AdWords Keyword Planner search volume and competition

上で紹介したツールを使って、十分な月間検索数を稼げない、使う価値のないターゲティングキーワードを排除します。また、特に競争力あるキーワードばかりをターゲットにしないようにします。検索数は稼げるかもしれませんが、検索結果の上位に入るには時間がかかりすぎます。ローカルなトラフィックも必ずチェックします。グローバルなレベルでトラフィックを多く稼いでいるキーワードが、自分の住んでいる地域でもよく使われているとは限りません。検索数に関して言うと、理想的な検索数というものはありません。業種によって異なります。

競合他社の研究

検索結果がどのようになっているかを把握するために、競合他社の情報も簡単に調べます。自社にとってもっとも価値のあるキーワードに関して調べるところから着手します。Google検索を使う場合、AdWordの広告プレビューと診断ツールを使います。検索履歴や地理情報により自分が閲覧している検索結果がカスタマイズされている可能性もあります。このツールを使うと、一般には検索結果の最初のページがどのように見えるかが分かります。

AdWords Preview and Diagnosis tool local search results

検索結果を数ページ見て、キーワードがどのように使われているかに注目します。タイトルタグやメタディスクリプションはどうなっているかを把握します。ブログの話題やタイトルだけでなくセクション名やカテゴリ名も調べます。どのようなキーワードで検索結果の上位に入っているのかが分かるはずです。

ローカルなコンテンツを作成する

ローカルガイドを載せる手法は、Webサイトをローカルなコンテンツマーケティングでもっとも重要な3つの要素と関連づけたページ向けにコンテンツを作成する場合にすすめられる方法です。

  • キーワード:言うまでもなく、ガイドやトップ10のリスト、ハウツー、そのほかの種類のコンテンツを使うと、ページ全体のあらゆるところで、不自然ではなくキーワードを何度も使用できる
  • ニッチ分野:同意語や潜在的なセマンティックなキーワードを使うと、検索エンジンはWebサイトがプール清掃ボストンなどのキーワードに関連しているだけでなく、屋外スイミングプール清掃用品のような広いトピックに関連していると認識する
  • ロケール:「ボストン地区でスイミングプール用品を探している人に関連してるページ」と検索エンジンが認識できるようにするため、検索エンジンに自社を特定の地域と結びつけられるようにする

コンテンツをどのようなものにするか考えるには、カスタマーの質問を出発点とすることをすすめます。購買の前段階、購買中、購買後の各段階での共通の質問は何かを考えます。FAQについてはローカルフォーラムやオンラインのQ&A掲示板をチェックします。さらに、早い段階で質問に回答できれば、Webサイトへのクリックスルーやコンバージョンが増加する可能性が高くなります。

作成するコンテンツの種類はニッチの分野によって変わりますが、ニーズに合わせてカスタマイズ可能な基本的なフォーマットがいくつかあります。

ローカルで「1番良い」リスト

ローカルな製品または企業を探したことがあるなら、おそらく「この市内でどの企業がもっとも良いか?」というようなキーワードを使ったことがあるはずです。もし、そのような経験がなくても、実際にカスタマーはそういったキーワードを使っています。同じような検索をしているカスタマーをリストにしたり、自社に多少関連した製品/サービスを提供できます。スイミングプールを扱っている企業なら、スイミングプールを販売、設置する企業が該当しますが、温水浴槽、飛び板、はしご、プール用のおもちゃ、カバー、清掃用品、水着を製造・販売する企業も当てはまる可能性があります。

ピンと来ないかもしれませんが、競合他社をリスト化することをためらわないでください。レビューはローカル地域では非常に重要です。88%の消費者がビジネスの質を判断するためにレビューを読みます。カスタマーには、YelpなどのWebサイトでレビューを残してもらえるようにします。オフページSEOを強化できますが、評価がどうなるかはカスタマーの手に委ねられます。

良い機会ととらえ、自社だけが提供しているサービスや製品の特徴を説明し、自社の差別化をします。ブランド認知度を上げ、同時にカスタマーをコンバージョンファネルに引き込めます。決断のプロセスをより簡単にすれば売上の上昇やリピートカスタマー獲得のチャンスの上昇につながります。

次に紹介する種類のコンテンツは非常に多くのリンクを獲得できます。自分のWebサイトを補完するWebサイトにリンクしたいと考える人が多いからです。加えて、隠れボーナスとして競合他社のブランドのキーワードで検索上位に入れられるかもしれません。

ローカルガイド

ローカルガイドは、どのような種類のビジネスかにもよりますが、なんらかの許可またはそのほかの法的な承認が必要な製品を販売する場合には非常に重要です。都市や郡、州によって製品に対する法規が異なりますが、このガイドを見ると、ローカルな検索順位の指標として重要なのはなにかが分かります。先ほどのプールの例で言えば、仮にプールを持つことが許可されたとしても、カスタマーは必ずプールを設置できる場所を定める法律を順守する必要があります。だから、ボストンで営業をしている人は、サービスを提供している管轄区域の法律から、地域・地区規制のガイドを作成する必要があります。

ガイドは一般の人が読んでも理解できるように分かりやすくくだけた言葉で作成し、適切な官庁へのリンクや問い合わせ情報を書いておきます。調査によると、Googleは外部リンクを好み、政府や教育機関などのドメインへのリンクを付けておくとベストです。ロケールや「法律」「条例」「規則」などの単語をタイトルに使用します。全購買プロセスを通してカスタマーに情報提供をしてガイドすると、コンバージョン率を上げるのに有効です。

このコンテンツはいつも最新の状態にしておきます。法律が変更された場合、コンテンツをアップデートしてコンテンツを常に最新の状態にしておくことで得られるメリットを享受します(『オウンドメディア運営に絶対必要な「エバーグリーンコンテンツ」とは?』参照)。

季節別ガイド

どこにも異なる季節が存在し、人はそれぞれの季節を最大限活用するための方法を常に探しています。自社のビジネスが季節に関係なくても、コンテンツを季節により変更することをすすめます。言うまでもないことですが、コンテンツを感謝祭、クリスマス、戦没者追悼記念日などの主要な休日に合わせて変更します。季節別のセール品を強調するのもすすめられる方法です。フレッシュなコンテンツに季節感を吹き込んでください。

レストランを経営しているなら、休日のパーティ向けの料理に関してなにか書くのもいいでしょう。ボートの販売代理店なら、ボートの冬支度のためのガイドを公開してもいいでしょう。関連した参考になりそうな情報を探すために、直近のイベントやポップカルチャーにもアンテナを張っておきます。必ずしもコンテンツを最新の状態に保てないかもしれませんが、それでも大丈夫です。すべてを最新の状態に保てるわけではありませんから。

季節別のコンテンツをローカルまたは地域のイベントと結びつけて、ローカルなものにします。ボストンのプール会社を例にすれば、プール会社は冬にはBoston Polar Bear Plunge、晩夏にはSharkfest Swimなどのイベントを利用できます。ローカルなイベントカレンダーを発行するのも良いでしょう。

コミュニティへの関与

ローカルな企業経営者や企業はローカルコミュニティに積極的に関わり、ローカルな運動や慈善団体、組合などをサポートすることがよくあります。コミュニティに明らかに利益があることは別にして、小規模な企業の場合、慈善事業の実施は社員のエンゲージメントや連帯意識を高めます。自社や社員の慈善事業への取り組みを促進するためには、ブログの利用をすすめます。

このコンテンツには2つの効果があります。良い運動や慈善事業などをバックアップすることに加え、企業をローカルな良いストーリーと結びつけ、ブランド認知度を上げる効果もあります。また、トレンドの話題で検索数を稼ぎ、カスタマー層を広げられます。さらに、商工会議所のように、ローカルな企業や事業者団体を後押しするコンテンツの作成もできます。

ローカルなランディングページ

自社が複数の都市でサービス展開していても、実店舗が1店舗しかない場合、実店舗を持っていない都市ではローカルな検索結果で上位に入るのは難しいかもしれません。この問題への対処法としては、ターゲットにしたい場所を一度決めたら、1つ1つの都市専用のランディングページを作成し、もっとも多い検索数のキーワードで最適化します。さらにキーワードリサーチをして、都市や郡または州のどのレベルで検索しているかを調べます。都市レベルで検索している人が大半であるのに、郡や州レベルで最適化してもあまり効果はありません。

次に、ローカルな検索結果に表示されるようにページを最適化します。

  • 商号や場所(またはNAP情報)、キーワードをタイトルタグやメタデータに入れる。先ほどのプール業者がタイトルタグに商号しか入れなかった場合、ランディングページがウォルサム、ケンブリッジ、ニュートン、クインシーなどでプールサービスを探している人向けに作られていると検索エンジンは理解できない可能性が高いからだ。理想的なタイトルタグは場所や企業情報を含む。たとえば、次のようになる
    <title>Mass Bay Pool | Above Ground Swimming Pools | Waltham</title>
    
  • 都市名や州名を適宜、ランディングページのURLや本文、画像の代替テキストに使う。無理矢理な感じを受けたら手法を考え直す。キーワードを不自然に詰め込むと、スパムと見なされむしろ悪い結果を招くことになる。
  • 別々のランディングページに同一のコンテンツを利用しない。重複コンテンツになり検索順位が下がってしまう。先に述べたローカルなコンテンツがローカルなランディングページには最適だ。ほかにも考慮すべきことを以下に記載しておく
    • ターゲットにしている都市のカスタマーによるレビュー。Schemaレビューマークアップを使ってGoogleのリッチスニペットに表示される確率を上げる
    • 都市ごとに動画を作成する。ページのキーワードや都市名を含め、動画の内容を公開する。検索エンジンが動画をクロールできないからだ
    • 関わったプロジェクト名または各都市でサポートしたカスタマーの名前を載せる。たとえば、不動産業者なら、ローカルな住宅購入者の手助けをしたことについて書く。書くときにはキーワードや都市名を複数回、ページのテキストの中や画像のaltテキストとして入れる
    • 各地域のローカルな売上の詳細やサポートスタッフのプロフィールをアップする。たとえば、都市ごとに異なるメンテナンススタッフを置いている場合、カスタマーにスタッフの経歴や経験を説明して紹介する。なんらかの専門知識またはプロの証明となるものがあればそれも紹介する

都市別に別々のNAP情報(Name:事業者名、Address:所在地、Phone:連絡先)を持っている場合、適切なローカルランディングページにその情報を載せます。LocalBusiness Schemaマークアップを使って検索エンジンにページの情報が意味することを伝えます。また、こうすると、ページがGoogleのナレッジグラフに表示されやすくなります。

SEOを超えて

コンテンツマーケティングはローカルSEOに非常に役立つだけでなく、そのほかのマーケティングチャネルとしても役立ちます。ローカルな「もっとも良い」リストやハウツー、ローカルガイドなどはソーシャルメディアの最新情報を提供します。最新のブログ投稿をFacebook、Twitter、LinkedInなどで共有し、マーケティング活動に費用をかけずにカスタマー層を広げます。

効果的なローカルコンテンツマーケティングをすれば、Webサイトを検索結果で上位に表示できるだけでなく、ビジターがどのような経路でWebサイトにたどりついたにせよ、ビジターを売上に結びつけられます。自社やローカルコミュニティの状態についてローカルなカスタマーに常に知らせておくと、カスタマーは会社の状態を常に把握し、関心を持ってもらえます。

※本記事はWooRankのSEOシリーズの1つです。SitePointでの記事公開に協力してくれたパートナーへのサポートに感謝します。

(原文:Content Marketing & SEO for Local Businesses

[翻訳:中村文也/編集:Livit

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