UXデザインの現場でこそ、アクセス解析をもっと活用すべき理由

2017/01/26

Luke Hay

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UXデザインの現場ではユーザーリサーチが重視されますが、アクセス解析(分析、アナリティクス)のデータは活用できているでしょうか? 英国のUXコンサルタントであるLukeは、ユーザーリサーチのベースとして分析データの活用を勧めます。

残念ながら、Webサイトやアプリの分析(アナリティクス)は、UXデザインにおいてしばしば見落とされます。もちろん、Webサイトやアプリの分析はUXリサーチに代わるものではありませんが、分析をUXリサーチに加えると、定量的データと定性的データの両方を調査対象範囲に入れられます。Webサイトで起こっていることを把握するためにWebサイトの分析データを利用するUX開発者もいますが、Webサイトの分析データをユーザーリサーチのベースとして利用する人はほとんどいません。

この記事ではWebサイトやアプリの分析がユーザーリサーチのプロセスにどのように役立つかを説明します。

どのようなUXプロセスにおいても、ユーザーがどのような人かを知ることは非常に重要で、ユーザーリサーチがその大きな役割を果たします。ユーザーリサーチには本当にさまざまなツールや手法が使われます。しかし、すべてに共通するのは、ユーザーに関する有益なデータを収集することです。

リサーチは対象者に好き嫌いを尋ねることではなく、ユーザーに関する事実を知ることです。Webサイトやアプリの分析データは客観的なものであり、意見ではなく事実を提供するものです。データは詳細なユーザーリサーチの代わりにはなりませんが、分析を優先するアプローチを取るとリサーチの基礎がしっかりします。

分析はリサーチプロセスのどこに位置するか

ユーザーリサーチプロセスに決まった形はありません。ユーザーリサーチに対するアプローチは人によって違います。また、プロセスはプロジェクトによっても変わってきます。以下にプロセスの一環として使うユーザーリサーチのさまざまな形式を図示します。

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Webサイトやアプリの分析データは、Webサイトを訪問するユーザーのタイプを大まかに知るプロセスのスタート地点で利用できます。詳細なペルソナを作成したり、異なるタイプのユーザーの行動を分析するためにも利用できます。プロセスの効果を最大限に引き出すために、分析データを使ってほかのリサーチ方法をサポートします。

ユーザーを知るために分析データを活用する

ユーザー行動の「なぜ」を理解するには、ユーザーを知る必要があります。ユーザーがどのような人なのか推測することがあるかもしれませんが、常にそうした推測をおすすめします。また、少なくとも事実で推測の裏付けを取ると良いでしょう。Webサイトを訪問している人がどのような人かを知る助けとなるたくさんのデータが、分析パッケージで利用できます。ユーザーを理解した分だけ、作成するデザインの決定に役立ちます。

Webサイトやアプリの分析データはたくさんの異なるタイプのリサーチを始める場合に役立ち、ユーザビリティテストで採用すると特に役立ちます。ユーザビリティテストでは、テスト受験者がターゲットペルソナへの適合性が高ければ高いほどテストの合格率が上がります。

ユーザビリティテストにより、「実際の」ユーザーがどのようにWebサイトを利用しているか、どこで問題に直面しているかが分かるはずです。ユーザーがどのような人かを知ることでユーザビリティテスト結果の精度が向上しますし、実際のユーザーが直面している問題を発見できる可能性が高くなります。

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Webサイト分析データを使えば次の質問への回答が容易になります。

  • ユーザーはどのようにしてWebサイトを知ったのか?
  • ユーザーの訪問経路はどうなっているのか?
  • 言語をなにを話すのか?
  • 使っているデバイスはなにか?
  • 年齢はいくつで、ジェンダーはなにか?
  • どれほどの頻度でWebサイトを訪問しているのか?
  • どのようなコンテンツに興味があるのか?

ここまで説明してきたように、ユーザーリサーチを始める上で役立つ情報はそこら中にたくさんあります。

ペルソナは「作り上げる」ものではない

UXプロセスでは、Webサイトを実際に訪問したユーザーを表現するためにペルソナが使用されます。ペルソナは通常、デザインプロセスの意思決定を支援するために作成され、常にユーザーにフォーカスしておくための強力なツールです。分析パッケージで利用可能な豊富なデータは新しいペルソナの作成を開始する場合に利用でき、これらのペルソナがWebサイトをどのように使っているかを分析するために利用されます。

ペルソナは「実際の人」ではありませんが、「実際の人を表すもの」です。つまり、Webサイトを使う可能性のある人のタイプを表します。「作り上げる」のではなく、Webサイトのユーザーやユーザーの取りがちな行動を詳しく知ることで作成するのが理想です。

記事の前半で紹介したように、Webサイトやアプリの分析データはユーザー層に関する情報を提供し、実際のユーザーの詳細情報に基づいてペルソナを作成するのに役立ちます。

Webサイト用の実際的なペルソナを作成するための情報を得る方法はいくつかあります。ユーザーとして直接的な経験を持つステークホルダーに話を聞いて得られる情報もありますが、なんらかの形のユーザーリサーチは重要です。たとえば、実際のユーザーに対する調査や対面のインタビューです。Webサイトやアプリの分析はペルソナを作成する上でも大きな役割を果たします。

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分析パッケージのほとんどの指標はペルソナの作成に役立ちます。たとえば、Webサイト上の滞留時間を見れば、ユーザーが時間に追われているか、娯楽でWebブラウジングをしている可能性が高いかを判断する参考になります。一方で直帰率が高いと、しびれを切らしたか効率が悪いと判断したことを示しています。

正確で有益なペルソナを作成する鍵はさまざまなソースの情報を参考に全体像をつかむことです。Webサイトやアプリの分析データのみの利用をすすめいるわけではありませんが、分析データは確実にたくさんの公平なデータを提供してくれます。プロセスで役立つのはこのデータだけです。分析データを単独で使わないでください。ほかのリサーチ方法の替わりとして使うのではなく、併用するとよいでしょう。

分析データだけに頼らない

Webサイトやアプリの分析データはペルソナ作成に役立ちますが、頼りすぎてしまいがちです。分析データに頼りすぎると、不正確なペルソナができあがってしまいます。たとえば、Webサイト向けに2つのペルソナを作成したとして、データからユーザーの性別が男性50%で女性50%だと分かった場合、男女比が1対1という意味になります。

しかし、同じWebサイトに英国から50%、米国から50%の訪問があった場合、ペルソナに置き換えるとどういう意味になるでしょうか。英国または米国のどちらを男性ペルソナにすべきでしょうか。利用可能なデータからだけではこの問いに答えられません。このようなことが起きるので、さらにユーザーリサーチをして、実際のユーザーがどのような人かを明確に把握することが重要です。

ユーザーがどのような人か分かったら、異なるグループのユーザーがWebサイトでどのような動きをしているかを把握するためにセグメントを作成します。セグメントとは分析データのサブセットです。たとえば、セグメントは特定の国または都市のユーザーから構成される場合があります。また別のセグメントはモバイルユーザーまたはWebサイトの特定のページを訪問したユーザーから構成される場合もあります。セグメントは1次元になっていることもあれば多次元になっていることもあります。たとえば、タブレットを使っているフランス語を話す女性などです。

セグメントの準備ができたら、ペルソナの見本がWebサイトでどのように機能しているかを確認するためにセグメントを適用し、ナビゲーションレポートを閲覧します。あとは、すべてのプロセスを繰り返すだけです。ペルソナに分析データを渡し、さらにデータを得るのです。

この記事でユーザーリサーチプロセスにおいて、Webサイトやアプリの分析が重要な役割を果たすことを分かってもらえたなら幸いです。ユーザーリサーチにWebサイトやアプリの分析だけを使うことを提案しているのではありません。実際のユーザーの話を聞くことに代わるものはないからです。

しかし、分析パッケージから非常に多くの有益な情報を得られますし、分析パッケージを使えばユーザーリサーチプロセスの基礎をしっかり固められます。UX開発者はユーザーがどのような人であるかを把握するのは優れたUXを作成する上で、絶対的に重要であると理解してください。Webサイトの分析データを分析するのはこの理解を深める上で役立つ方法です。

(原文:How To Really Get To Know Your Users with Analytics

[翻訳:中村文也/編集:Livit

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Luke Hay

Luke Hay

1990年代からWebサイト関連の仕事をしていて、イギリスを拠点にして活動してるUXコンサルタントです。Webサイトやアプリのデザインや開発、最適化に対しての分析アプローチはユーザー志向で取り組むことに誇りを持っています。現在、統合デジタル会社であるFresh EggでSenior Conversion Strategistとして働く傍ら、フリーランスのUXおよび分析コンサルタント、トレーナーとしても働いています。常に地域のデジタルコミュニティに関わりながらUX Brightonのイベントの企画開催をサポートしていて、UX Camp Brightonのオーガナイザーの1人です。

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