アクセス解析ツールから得られるレポートを駆使した分析に、圧倒的に不足しているのは「根拠」です。2週間実施したA/Bテストも、期間を変えて再テストをすれば、前とは別の結果になることもあるでしょう。
そうならないためには「統計学」で根拠を求めましょう。このLESSONでは、おなじみのGoogle アナリティクスのデータを例にWeb解析で使える統計を紹介します。

Web解析を担当しているみなさんに統計学についてのLESSONをお届けすることになりました、瀬下と申します。よろしくお願いします。第1回では、今後この講座で学べる内容を簡単に紹介します。

LESSONの3つの目標

Web解析にすぐに役立つ統計学では以下の3つを習得することを目標にします。

基礎編

1) 統計学と、その基礎となる確率論に関する基礎的な知識を得る[第1〜5回]

仮説検定・回帰分析編


2) 統計学的仮説検定を理解する[第6〜9回]

3) 回帰・重回帰分析を理解する[第10〜12回]

1. 統計学と、その基礎となる確率論に関する基礎的な知識を得る

第1〜5回では、標準的な統計学の知識を、Web解析の事例を使って解説します。

最初は、基礎統計量を使った「数値の要約」です。「平均値」などの見慣れた指標から発展させ、いろいろな「統計量」を解説します。

基礎統計量の中でも統計学で特に重要な指標に、ばらつきを表す「分散」と、「標準偏差」という概念があります。Web解析でもばらつきに注目することで、分析ツールではわからない問題に気がつくことがあります。これまでの分析レポートを見直したくなるかもしれません。

また、「確率分布」についても解説します。統計学を始めて学ぶ方には、確率分布の概念は理解しにくいかもしれません。しかし、統計学の目的は、「母集団の確率分布を知ること」といっても過言ではないので、きっちりおさえましょう。

2. 統計学的仮説検定を理解すること

続いて、統計学を初めて学ぶ際の鬼門と言われる、「統計的仮説検定」を解説します。統計学的仮説検定とは、ある仮説(命題)の真偽を統計学的な観点から判断する方法です。

そんなこと言われても、よくわからないという方、安心してください。「統計的仮説検定」は実はとても簡単です。理解すると、自分が実施したA/Bテストの正当性を答えられるようになります。

3. 回帰・重回帰分析を理解すること

最後に「回帰・重回帰分析」を解説します。「多変量解析」といわれる手法の中で、もっともポピュラーな分析です。回帰・重回帰分析がわかると、たくさんのデータの中からコンバージョン(CV)と関わりがありそうな指標を特定し、CVを増やすためのヒントを掴めます。

画像は参考

Rの使用法と基礎統計量の算出

LESSONの目的は以上ですが、統計学の理屈がわかっても、実行するスキルがなければ、意味がありません。

そこで、このLESSONでは、統計解析向けのプログラム言語である「R」を使って、統計学の知識を活用したWeb解析を実行します。

Rのインストール

「R」の実行環境をパソコンにインストールします。

CRAN(The Complihensive R Archive) https://cran.r-project.org/ にアクセスします。

OSごとのリンクをクリックします。特に難しいことはありません。指示に従ってインストールします(以降の画面はMac版ですが、基本的な操作はWindows版でも同じです)。

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Rについて

Rとはコンピュータ言語の一種であり、特に統計的手法とその可視化の目的に特化している言語です。統計解析ソフトとしてのシェアは(Excelを除けば)世界でダントツの1位であり、統計解析の分野で今後もスタンダードの位置にあり続けると思われます。
参考:http://business.nikkeibp.co.jp/atclbdt/15/258680/080400007/

Rを起動すると、コンソール画面が表示されます。コンソールに、コマンド(命令)を入力し、実行します。コマンドはコンソールに直接入力するのが基本ですが、コマンドを残しておきたかったり、後でまとめて実行したりする場合は、テキストエディターに記述するとよいでしょう。

Rを使ってみよう

Rの操作は> (プロンプト)に続いてコマンドを入力し、Enterキーを押して実行します。まずは基本的な四則演算 +, -, ×, ÷の練習をしてみましょう。

普段使っている記号を使えますが、一部違うものがあります。

[演習1]以下のコマンドをコンソールに入力し、演算の結果を確認しなさい。

> 3+5 #R言語ではコメントアウトには#記号を用いる。#以降の命令は無視される。

> 3-5

> 3*6

> 2/10

> (50 + 2)*pi #piは円周率

[解答と解説]

Enterキーを押して実行すると、演算結果が表示されます。

第2回はもう少しRに慣れるために、Rを使った処理の流れと基本的なコマンドの使い方を解説します。

瀬下大輔

瀬下大輔

東京大学大学院教育学研究科卒業 教育学修士(数学教育)。大学院を卒業後、社会人のための数学教室「すうがくぶんか」を設立。よみうりカルチャースクール講師、ウェブ解析士協会主催「ウェブ解析と統計」講師。その他、法人向け数学・統計学研修/統計分析コンサルタントなど実績多数。

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