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「SEOの死」は本当か? 競合サイトが実はやっているリンク構築の全手法

2017年02月02日 04時00分更新

文●Greg Snow-Wasserman

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2016年話題になったキュレーションサイト問題は、いまだSEOによって順位を上げることが可能だと証明してしまいました。ブラックハットな手法や過度なSEOは迷惑そのものですが、コンテンツをユーザーに届ける手段としてのSEOもまったく必要ないのでしょうか?

リンク構築はまだ重要か?

Googleオリジナルのランキングアルゴリズムにおいて、被リンクは常にランキングを決める重要な指標になってきました。リンクで信頼やオーソリティを獲得するやり方はGoogle最大の強みで、ほかの競合検索エンジンをしのいできました。

しかし2012年のペンギンアップデート以降、SEOのためにリンク構築する時代は終わったと言われています。これにはいくつか理由があります。

  • スパムリンクは悪質と評価されるので、リンク構築で評価を上げにくくなった
  • リンク構築を誤るとペナルティを受けるので、リンク構築のリスクがさらに大きくなった
  • 具体的になにがペンギンに引っかかってしまうのか不明瞭な点があったので、リンク構築がすっかり敬遠されるようになった
  • SEOがコンテンツマーケティングの時代に入った

上のような要因から、SEOは手動のリンク構築から、コンテンツマーケティングを通して「リンクを稼ぐ」考え方に変わっていきました。質の良いコンテンツは自然にリンクを引き寄せるというわけです。これは「多くシェアされているコンテンツはたくさんリンクされている」という考えに基づいていました。

しかし、これは事実と異なります。シェアとリンクの間にはほとんどなにも相関関係がないのです。現に大半のコンテンツはシェアもリンクもまったくされていません。

つまり、良いコンテンツの作成は必要ですが、それだけではダメだということです。リンクは自然には増えません。適切なオーディエンスに向けて戦略的な働きかけが必要なのです。また、Googleのランキングアルゴリズムにおいてリンクはまだ不可欠なので、リンク構築を誤るとSEOが制限され、それゆえリーチも伸びません。

まだリンク構築が本当に重要なのかと疑っていますか? ペンギンがコアアルゴリズムに組み込まれたという事実が、Googleがランキングにとって重要であると考えている裏付けになります。

リンク構築の方法

ステップ1:コンテンツを作成する

リンク構築にとってもっとも重要なことは、シェアしたくなるコンテンツを作成することです。言うのは簡単ですが、どのようなコンテンツ戦略ならばリンクを集められるでしょうか。実はとても単純です。すでにリンクされているコンテンツにテコ入れするのです。

リンクされるのは正確で独自の情報、役に立つコンテンツです。どういったコンテンツならその規準をクリアできるのか把握するために、オーディエンスが実際にシェアしているコンテンツを検討します。トピックで検索できるAhrefsBuzzsumoといったツールで、オーディエンスが役に立つと感じてリンクした自分サイトに関係する記事を探します。

たくさんシェアやリンクされたページのコンテンツは、すでにかなりの需要があり、テーマとしては他のものよりもずっと簡単にリンクを獲得しやすいということです。

Buzzsumo finds most shared content for a topic

Majesticを使って、価値の高いリンクを獲得したいと考えている自身のコンテンツをいくつかチェックしてください。自身のコンテンツを再利用する必要はありませんが、オーディエンスが好むコンテンツを知るヒントになるはずです。もしちょっとずるいやり方をするなら、競合のシェア率が高いコンテンツを調べればリンクをいくつか奪えます。

良いコンテンツのネタをいくつか集めたら、コンテンツを構成します。コンテンツの質を高める良い方法をいくつか紹介します。

  • 更新する:特に変化の激しい業界で、古くなったり、関連性が低くなってリンクが得にくくなっているコンテンツがあちこちにあるなら、更新するよい機会だ。もっと有益なコンテンツになるように、新しい関連情報やリンクを追加して更新する。「302リダイレクト」がこのタイプの良い例になる。最近まで302リダイレクトはページランクを引き継がないと考えられていたので、SEO上302リダイレクトは避けるのが良いとされていた。それが2016年に変わったばかりなので、まだ302リダイレクトを避けるべきだとするSEOの記事が散見されるが、古くなったコンテンツを直せばリンクを獲得するチャンスになる
  • 拡張する:もっともシェアされているコンテンツには「野菜レシピ ベスト10」や「ホームインテリアの5つの方法」などのように一覧にしているものが多い。これらの一覧を改良して、エントリーの数を増やす。可能なら2倍か3倍に増やすと良い。長めの一覧だとあまり詳細や参照を載せていないものもある。その場合は、各項目につき一文でも二文でもよいので詳細やリンクを追記する。これでもっと価値のあるコンテンツになる
  • デザインの変更:デザインはユーザー体験に大きく影響する。見栄えが良くないサイトや読みにくいサイトには誰もリンクしようと思わない。読者がもっと読みたくなるように、美しい印象を与える視覚要素を加える。分かりやすくなるならインフォグラフィックに変更する。インフォグラフィックは、シェアとリンクの点から大変支持されているWebコンテンツ形式。自分のサイトに戻るリンクをコードに埋め込んで作成すれば、さらにシェアしてもらいやすくなる

ブログはWebサイトに公開されたコンテンツを追加するのにもっとも優れた人気のある手段の1つですが、必ずしも正しい選択とは限りません。SEOのためだけにブログをやっても、リソースを維持して、新しいコンテンツを継続的に投稿しなければあまり役に立ちません。

もしできないなら、長めのエバーグリーンコンテンツ(『オウンドメディア運営に絶対必要な「エバーグリーンコンテンツ」とは?』参照)を作成することに注力してください。エバーグリーンコンテンツは数カ月、数年経っても有用であり続けます。

ブログをやっていなくてもエバーグリーンコンテンツはとても有益で、更新があまりできない人でもリンクを確保できます。

ステップ2:リストとスプレッドシートを作成する

リンク構築戦略の次のステップは、潜在的なリンク一覧を充実させることです。比較的簡単な作業ですが、ここでリンク構築がうまくできるかどうかが決まります。成功させるには綿密な戦略を立てて、進捗を追跡する必要があります。

もしまだ競合のリンクリサーチをしてないなら、すぐに実行してください。自分のWebサイトに関係のあるページ一覧ができるはずです。関連するトピックが網羅され、自分のページと同様の(だがそれほど良くない)コンテンツにリンクしている傾向が分かります。

次に、ほかのWebサイトの一覧を合体させて、リンク構築に使います。このときに役に立つツールをいくつか紹介します。

  • AuthorCrawl:Moz APIを使ってURLに貼られたリンクを見つけ出し、リンクページをクロールして作成者をマークアップできる。さらに作成者のGoogle+ページの情報を収集して、業界での影響力やポジションを判定ができる。作成者のURL、ページ、ドメインオーソリティの情報も分かる
  • BlogDash:ブロガーへのアウトリーチプラットホーム。ブロガーを検索できるデータベースで、カテゴリーで業界に関連するトピックについて書いている人だけを検索できる。Googleランクで検索して、最適なブロガーを探せる。またブロガーが書いた最近のトピックも見られ、さらにもっとも知りたい情報である連絡先も分かる

名前と情報一覧を作成できたら、編集します。ブロガー一覧をスプレッドシートにし、タイトル、ドメイン、リーチ、オーソリティ、最近の投稿のほか、日付、連絡方法、反応などアウトリーチの方法を記す列を作ります。単にドメインオーソリティやリーチだけで分類したくなるかもしれませんが、我慢してください。自分のビジネスにより関連があるブロガーを探そうと努力すれば、より影響力の大きい人が見つかり、より良い結果につながります。

ステップ3:接触は手動で

すでに述べたように、リンク構築のための接触は手動のプロセスです。どうしてもというなら自動化できますが、形式的な書式は感づかれてしまい、迷惑フォルダーに入れられてしまうかもしれません。最大限の結果を出すには、自分でメールを書くのが一番ですが、テンプレートを使うなという意味ではありません。テンプレートに次の要素を入れるとスムーズにメール作成できます。

  • 付加価値:読者に訴えるなにかがない限り、ブロガーは以前にカバーしている同様のコンテンツにはリンクしようと思わない。メールでは、最初に自分の記事やWebサイトが彼らのこれまでの投稿にはない部分を補えるものであることを伝える。付加価値を与える良い方法は、リンク切れの対処法を提案すること。Check My Linksの拡張機能を使って、無効なリンクを見つけると良い。自分のサイトにリダイレクトしてもらえるかもしれない
  • ハイパーリンク:URLを直接コピーしてメールに貼り付けてはいけない。データーベースから情報を引っ張り出して自動的に送信したように見えてしまうので、アンカーテキストでハイパーリンクにする(編注:HTMLメールの場合)。こうするとメールが洗練された印象になり、よくありがちな、「こちら」などのアンカーテキストを使っても、迷惑メールと間違われにくくなる。ブロガーが最近書いた記事を参照したなら、その記事へのリンクについて過剰に触れる必要はない。書いた人は最近の自分の仕事については普通覚えているからだ。
  • ユニークな件名にする:大人気のブロガーなら何十人、何百人もの人がリンクしてもらおうと競争している可能性が高い。どのトピックに対してコンタクトをしてきているのか受取人がすぐ分かるように、引きつける件名にする。ただし、リンクのために見つけたと思われない程度にあいまいにすること。メールの件名が、たくさんの相手に送っているように見えると、開封されることなく削除されてしまう
  • 自分の連絡先:Eメール、Webサイト、ソーシャルメディア、電話番号などの連絡先を記載する。迷惑メールは連絡先の詳しい情報を書かないので、しっかりと記載して信憑性を高める

できるだけ個性を出してください。なんの変哲もないつまらないメールは受取人にとって後味が悪いものなので、今後の関係づくりに影響します。

最初はリストのごく一部からしか返信がないかもしれませんが、それで構いません。アウトリーチとは関係を築いて、特別なリンクを獲得することだからです。また、こうしたブロガーにはオーディエンスがたくさんいて、渡してくれるリンクジュースが多いので、数少ないリンクでも大きな効果が期待できます。

ステップ4:リンクの再生

リンクの再生はリンク構築とはちょっとだけ異なりますが、やはり手動のリンク構築が必要です。自分のWebサイトに指定されているリンク切れを探し出し、修復する作業になります。リンク切れは、たとえばページの移転や、リンクしているサイトの所有者がリンク先URLを間違って入力している場合など、原因は多岐に渡ります。

Google Search Consoleのクロールエラーレポートを利用して、404エラーが返されているURLを見つけ、出力します。

Google Search Console 404 errors

MajesticやAhrefsなどの被リンクチェックツールに戻って、被リンクの一覧を出力し、スプレッドシートに404を返すURL一覧をコピーします。VLOOKUP機能を使って、被リンクのURLをステータスコードにマップします。ステータスで並べ替えたり、フィルターにかければリンク切れの被リンクが分かります。別のやり方としては、被リンク一覧を出力したら、リストモードをつかってScreaming Frogでクロールし、クライアントエラー(4XX)で結果をフィルターにかけます。

無効な被リンク一覧をまとめるのは大変な作業ですが、これで、次のアウトリーチの段階で、リンクしているサイトのオーナーに、更新済みのURLをスムーズにメールで知らせられます。無効リンクの修正はユーザー体験とSEOを改善するので、彼らにとっても利益になるのだと指摘すれば、高い確率でメールの返信があるはずです。

最後に

そもそもリンク構築はSEOと密接な関係があり、切っても切り離せない関係です。リンクは自分のWebサイトに関連性があり、オーディエンスに支持されるに足る価値のあるものだと見なされていることを検索エンジンに伝えてくれるもので、今後も検索結果の順位に影響します。つまり、手動のリンク構築はデジタルマーケティングにおいて引き続き重要だということです。

よく捉えれば、良いコンテンツを作って戦略的にリンク構築をしてきちんと努力すれば、もっとリンクを獲得でき、検索順位もさらに上げられるはずです。

※本記事はWooRankのSEOシリーズの1つです。SitePointでの記事公開に協力してくれたパートナーへのサポートに感謝します。

(原文:Link Building for 2017 and Beyond

[翻訳:和田麻紀子/編集:Livit

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