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なぜコンバージョンは伸び悩むのか? LPOやA/BテストでCROする最強の方法

2017年06月22日 23時00分更新

文●Greg Snow-Wasserman

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ユーザーが離脱するのには2つの理由があります。コンバージョン率を最適化する秘策を解説します。

デジタルマーケティングでは「最適化」がたびたび話題になります。検索エンジン、ソーシャルメディアのトラフィック、PPC広告、コンテンツマーケティングなどにWebサイトやページを最適化してアピールする方法はいろいろあります。最適化は一般的に、より多くの人をコンバージョンプロセスに誘導する、つまりファネルの入口をいっぱいにすることに焦点を当てています。

しかし、ファネルの出口でほとんどの人が離脱してしまっていたらどうしますか?

そこで必要になるのが、コンバージョン率最適化(conversion rate optimization:CRO)です。

コンバージョン率最適化とは?

コンバージョンファネルを最適化する秘策を紹介する前に、コンバージョン率最適化と、おさえておくべき用語を解説します。

コンバージョン率最適化とは、正式には解析とユーザーのフィードバックを構造的、体系的に利用して、Webサイトのパフォーマンスを改善することです。つまり、ユーザーが離脱する場所と理由を明らかにし、改善するのです。

CROは、Webサイトへのトラフィックを増やすことではなく、現在のトラフィックの価値を最大にすることが重要です。配管が漏れていたら、水量を増やす前に、まず漏れている箇所を修繕しますよね? それと同じです。

ここでマーケティングの用語について簡単におさらいします。知っている人もいると思いますが、すべて重要な用語ですのでこの機会に再確認してください。

  • コンバージョン:Webサイトで訪問者にとってほしい行動のこと。注文をさすことが多い。メールやアカウント登録、eブックのダウンロード、そのほかWebサイトからカスタマーやホットリードに結びつけるアクションをさす場合もある
  • コンバージョン率:シンプルな概念で、Webサイトでコンバージョンする訪問者の割合を指す。訪問者100人のうちコンバージョンプロセスを完了したユーザーの数で以下の計算式で算出できる。
    (コンバージョン数/Webサイトの訪問者数合計)×100
  • コールトゥアクション(CTA):訪問者を具体的な行動に誘導すること。多くの場合は、「購入する」や「新規登録」、「注文」、そのほかWebサイトのコンバージョンにあわせたボタンやリンクを指す。たいていは「いま」という文言を使って、緊急性を演出する
  • コンバージョンファネル/販売ファネル:基本経路からの訪問者がコンバージョンを完了するのに使う。たとえばeコマースサイトのファネルは、TOPページ、カテゴリーページ、商品ページ、決済となる。Webサイトやマーケットセグメントによって大きく変わる
  • 離脱率:ページを閲覧後にサイトを去ってしまった人の割合。直帰率と違い、離脱率にはサイトのほかのページからそのページに来た人も含まれる
  • 放棄率:コンバージョンファネルに進んだものの、プロセスの途中でやめてしまった人の割合。eコマースでは「カート放棄率、カゴ落ち率」とも言う

コンバージョン率の起点を設定する

CROは目標とするコンバージョン率を達成するための施策です。現状が分からなければどれだけ改善したかも測れないので、まずは現状を把握します。アナリティクスで目標や解析を設定している場合は、次の項に進んでください。

現状を把握してパフォーマンスを測定する基本的なステップがあります。

  • 目標:Google アナリティクスで目標を設定していないなら、Googleアナリティクスを開き、アカウント、(もし複数のサイトがあれば)「プロパティとアプリ」、「ビュー」と進み、左メニューの下にある「管理」をクリックする。「目標」から「新しい目標」をクリックして新しい目標を作成。「目標タイプ」を選択し、追跡する目標のタイプを選ぶ(このあと詳しく説明する)。目標の名前には説明を入れる。作成時には理解していても、6カ月後には目標の内容を忘れている可能性があるため、「目標1」「目標2」のような名前にしない
  • 目標到達プロセス(ファネル):アカウント作成や決済プロセス完了などコンバージョンにプロセスがあるなら、「目標到達プロセス」をオンにする。目標URL(到達ページ)に設定したルールにマッチするよう目標到達プロセスのURLを入力する(目標URLのマッチタイプが「等しい」か「正規表現」の場合、目標到達プロセスで使用する URLにも適用される)。目標到達プロセスのステップ1を経由したユーザーだけを追跡したい場合は「必須」にチェックを入れる。チェックがないと、目標到達プロセスの途中や最後から入った人もカウントする。目標到達プロセスの設定で、目標到達プロセスレポートの表示が変わるが、ゴールフローレポートではほかの経路から到達ページに来た人もカウントされる
  • 値:コンバージョンの価値はここに入れる値で変わる。必須ではないが、値を入れると最適化しやすくなる。トライアルの申し込みの価値を具体的な金額に換算できれば理想的だが、難しければ概算か平均的な金額を入れる。値を入れることで、CROがどれだけ収入源に効果をもたらすか検証できる

Google Analytics goal creation

目標のタイプを説明します。サイトのあらゆるコンバージョンを設定するために理解してください。

  • 到達ページ:指定したページに訪問があった回数を測定する。完了ページ、サンクスページ、サイトに掲載しているPDFページなどを指定する
  • 滞在時間:目標の滞在時間を超えたセッション数を記録する。ユーザーからの質問にできるだけ早く回答したほうが良いFAQサイトや、エンゲージメントの測定、滞在時間の比較に向いている。ただし、ページビューのタイムスタンプの比較で計測するため、別のページをクリックしなければ滞在時間されない
  • ページビュー数/スクリーンビュー数(セッションあたり):訪問ごと閲覧されたページ数を目標にする。滞在時間と同様、訪問当たりのページが少ないほどよいカスタマーサポートのサイトや、多いほど良いエンゲージメントタイプのサイトに向いている
  • イベント:目標を設定する前にWebサイトにコードを追加する必要がある。アフィリエイトのリンクをはじめとした外部リンクや、ダウンロードボタン、映像視聴者、ソーシャルメディアの共有ボタンのクリック、ウィジェットの利用を目標に設定できる。目標到達プロセスには、各ステップで固有のURLを設定するため、イベントを目標にしたときは目標到達プロセスは設定できない

検証したいコンバージョンが決まり、測定方法と、目標到達プロセスの設定方法が分かったところで、CROの秘策を教えます。

コンバージョン率最適化の秘策

Webサイトのコンバージョン率最適化には、ランディングページとコンバージョンファネルという2つのアプローチがあります。2つの違いは目的と弱点です。

ランディングページ最適化

深刻にWebサイトのコンバージョン率が低迷しているなら、ランディングページを疑ってください。ランディングページの役割は訪問者を目標到達プロセスに誘導することです。ここから最適化しましょう

ランディングページは検証できるように構築します。効果的な要素とそうでないものを検証するために、各要素を簡単にスワップアウトや完全に削除できるように設計します。ランディングページで最適化できる部分を挙げます。

  • ヘッドライン: <H1>タグは、訪問者にページのコンテンツを伝えてトピックについてもっと知りたいと思わせるもの。デッドツリー(新聞や雑誌)のヘッドライン同様、読者をひきこむ。
  • ヒーローイメージ:ページのメインの視覚要素。ランディングページを左右する重要な要素だ。商品を使用している人や、サービスの特典など、サービスや商品に関連し、訪問者が好意的な感情を抱く画像にする。多少抽象的になっても、コンバージョンプロセスから離脱する人に価値を強調する
  • ボディコピー:サービスや商品の説明。本質的な価値をアピールする。提供するサービスや商品が訪問者の生活にどんな価値をどのようにもたらすのかを説明する(企業向けなのか、個人向けなのかはあなたのビジネスによる)。ボディコピーで商品を支持してくれる訪問者に商品の価値を約束する
  • コールトゥアクション(行動喚起:CTA):訪問者にとってほしい行動。フォーム送信、ダウンロードボタン、「ショッピングカートに追加」ボタンなど、CTAはコンバージョンの目標により異なる。目立たせることと、アクションをするとどうなるかが分かりやすくすることが重要。
  • ソーシャルプルーフ(社会的証明):ターゲットオーディエンスからのカスタマーレビューや口コミを追加する。基礎心理学では、自分と似た人と同様の判断をするといわれていることからも、オンラインレビューの信頼度は高い。顧客でも販売業者でも関係のある著名な人をアピールする

コンバージョン率がもっとも良いランディングページと悪いランディングページを比較します。仮説をいくつか立ててA/Bテストで検証します。

  • 長文 vs 短文のコピー:テキストは少ないほど良いと言う人もいる一方で、最小限のテキストでは商品やサービスのメリットを十分に伝えられずに訪問者が離脱するという意見もある。認知度と顧客ロイヤルティが高いブランドは多くの説明がいらないかもしれないが、新しく小さな企業は必要かもしれない。そこで、長文と短文のページを作成し、訪問者の反応を分析する。コンバージョンプロセスによって、長文と短文の使い分けが必要な場合も考えられるので考慮して検証する
  • コールトゥアクション:フォームやボタンを設置する最適な場所をA/Bテストで探す。一番上か、ユーザーがコンテンツを読むまで待ったコンテンツ下部かなど、ヒートマップツールを使って訪問者がどこを見ているか調べ、CTAを見やすい場所に配置する
  • 商品の使用感と商品の利点:ヒーローイメージには、商品やサービスを使っている様子とカスタマーが利益を享受している様子ではどちらが良いのか。ロゴとマスコットの両方またはいずれか一方を入れたものが好まれるのかA/Bテストで最適化する
  • 第三者の承認:ソーシャルプルーフが十分にない場合は、セキュリティシール、カスタマーサービスの受賞歴、掲載された出版物など他者から認められたなにかを追加する

仮説を立ててランディングページを検証するときは、CROの定義「ユーザーがコンバージョンしない場所と理由を見つけ出し、それを修正すること」を思い出してください。

あくまで、コンバージョンの妨げになっているものを取り除くことが目的です。ページの至るところにCTAを置いたり、自社のサービスがすばらしいことを過度に書いて、無理矢理コンバージョンさせてはいけません。

目標到達プロセスの最適化

ファネルの入口を整えたら、コンバージョンのプロセスでの離脱を改善します。フォーム送信やメールのサインアップなどがワンステップのプロセスで完了するなら、ランディングページのCROは完璧です。もし複数のステップがあるなら、Google アナリティクスに戻って最適化します。

ここで活躍するのが、Googleアナリティクスの目標到達プロセスレポートです。

「コンバージョン」の「目標」でレポートを確認できます。ファネルが図になっていて、各ステップでファネルに入った人数と、離脱した人数が表示されます。目標到達プロセスを設定するときに、ステップ1を「必須」にすると、ステップ1経由の人だけがカウントされます。

Google Analytics conversion funnel visualization

このプロセスで離脱が多い原因は?

各ステップを見ると、どこで多くの人が離脱していますか? 離脱の多いステップでは、ユーザーになにを求めていますか? また、統一できるステップはありますか? 反対に、ユーザーをつなぎとめるために複数ステップに分けたほうが良いページはありますか?

目標到達プロセスの最適化は、以下の2つの原則があります。

  1. プロセスをスムーズにする:ユーザーはできるだけ早くプロセスを終えたいと考えているため、フォームで必要ない項目や、同じ情報を重複して入力させてはダメ。明らかな離脱ポイントは、フォームのデザインを変更したり、ページスピードを調整したりして最適化する
  2. ユーザーに考えさせない:コンテンツマーケティングの指針でもある。コンバージョンを促す最善策は、ユーザーの立場に立ってユーザーが何を思うのか検討する。その中で、疑いを抱かせるものや注意を乱すことがプロセスにあれば除外する。たとえば、クレジットカード情報を入力する前に、商品のアピール動画はいらないのだ

最後に

目標到達プロセスを合理化したら、さらに多くのユーザーをファネルに導くために、高度な最適化に着手し、より質の良いユーザーを獲得できます。

訪問者の流入を増やす前にコンバージョンの妨げとなっているものをすべて取り除かなければ、ユーザーはサイトから離れてしまい、大量のトラフィックが無駄になります。正しく目標到達プロセスを設定すれば、コンバージョン、販売、収入、そして利益も増えていくのが分かるはずです。

本記事はWooRankのSEOシリーズの1つです。SitePointでの記事公開に協力してくれたパートナーへのサポートに感謝します。

(原文:The Secret to Conversion Rate Optimization

[翻訳:和田麻紀子/編集:Livit

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