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深刻化するアドフラウド(広告詐欺)対策の新手法「ads.txt」とは?

2017年12月20日 16時36分更新

文●D2Cスマイル

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ボットによるクリックといった広告成果の水増しや、ディスプレイ広告でインプレッションを不正に発生させ広告費をだまし取る行為「アドフラウド」への有効な一手、ads.txtを解説します。

プログラマティック取引界隈では「枠から人へ」のシフトが進んでいますが、そのため「どんな媒体に出ているのか」という観点が薄くなり、不透明化が進んでいます。それを利用した偽装広告枠やボットによる閲覧、クリックをすることで広告費用を盗んでいくアドフラウド(広告詐欺)が、深刻な問題となっています。今回はそんな「アドフラウド」と対抗策「ads.txt」について解説します。

世界中の広告業界で深刻化しているアドフラウド(不正広告)問題

ads.txtとは

IABの研究・開発組織IAB Tech Labは2017年5月、プログラマティック広告取引市場で深刻な問題となっているアドフラウド対策のための有効な一手として、「偽造広告枠や不正インプレッション販売を防止するためのツール」を発表しました。それがads.txt(アズテキスト)です。

枠ではなく人をターゲティングして、タイミングや表示回数までもコントロールできたりとアドテクノロジーの進化が目覚ましいインターネット広告業界ですが、「不正広告」「広告詐欺」と訳される、アドフラウドと呼ばれる深刻な問題が発生しています。

さまざまなケースがありますが、ボットによるクリックといった広告成果の水増しや、ディスプレイ広告でインプレッションを不正に発生させ広告費をだまし取る行為を指します。

アドフラウドの一例

  • なりすまし媒体
  • ボットによる不正クリック、不正インプレッション

プログラマティック広告分野において、アドフラウドに大きな注目が集まり始めたのは2014年のことでした。
Mercedes-Benz社がDSPキャンペーンでのトラフィックをUK発のアドフラウド調査会社Telemetryを通して計測したところ、なんと57%が人間とは疑わしいトラフィックでした。
グローバルでの問題と言われておりますが、直近2017年5月、詐欺防止会社アドテク企業のピクサレートが発表したレポートによると、日本で取引されたプログラマティック広告のデスクトップインプレッションのうち、81%がアドフラウドと発表され、真偽はともかく日本でも大きく注目を集めることとなりました。
これにより発生している損害は日本だけでも年間数百億円にもなるとも言われています。

アドフラウド規模 国別グラフ 左:PC/右:SP

ads.txtの仕組み

「ads.txt」は偽造広告枠や不正インプレッション販売を防止するためのツールと解説しましたが、「ads.txt」自体はテキストファイルです。

「ads」とはAutorized Digital Sellers(公認されたデジタル販売者)の略で、このテキストファイルを通じてパブリッシャーは公式に販売を許可している広告システムを宣言できます。DSPはその宣言を読み取ることで、なりすましではないサイトであることを確認し、間違いなく存在するメディアの広告枠を安心して入札をすることができる仕組みです。


まとめ

プログラマティック広告取引の発展に伴い、大きな問題となっているアドフラウド。
「ads.txt」はGoogleの後押しもあり導入するパブリッシャーが増えてきているものの、まだまだ市場の10%未満だそうです。自社のWebサーバーに設置する必要があることから、複数の部署をまたいで構築されているような大規模なサイト程導入が難しいという現状もあり、導入推進が課題となっている側面もあります。

ようやく打たれたアドフラウドへの有効な一手。長い闘いに終止符が打たれるよう、パブリッシャーは積極的に導入していきたいですね。

(記事提供:D2Cスマイル

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