よりよいデザインのために知っておきたい認知バイアス7つ

2017/07/03

Tomas Laurinavicius

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デザインの決定に無意識のうちに影響を及ぼす認知バイアス。悪影響を排除し、うまく活用するためのヒントを紹介します。

「認知バイアス」とは、人間の思考に見られる「誤り」の1つで、意志の決定に影響します。または、世界を認識する方法における「盲点」とも言えます。

認知バイアスはデザインにネガティブな影響を与えることがありますが、なかなか気づけません。意識することでスマートで客観的な決断ができます。

7つの認知バイアス

  1. IKEA効果
  2. 注意バイアス
  3. 奇異性効果
  4. 選択支持バイアス
  5. ダニング=クルーガー効果
  6. アンカリング効果
  7. フレーミング効果

1.IKEA効果

The IKEA Effect

「IKEA効果」の定義は、自分で組み立てたものに不釣り合いなほど高い価値を与える傾向のことです。

このバイアスの名前は購入者が自分で家具を組み立てるIKEAのビジネスモデルに由来しています。いくつかの研究によると、自分で組み立てたIKEAの椅子と完成品の椅子まったく同じ椅子ならどちらに1ドルの価値を上乗せするかと聞かれると、決まって「自分の手で組み立てた椅子」と答えるそうです。

最初から参加していた場合は特に、自分が参加したプロジェクトに愛着を抱くのは自然なことかもしれません。IKEAバイアスは、プロジェクトのアイデアを考えついたときに顕著になります。

IKEA効果の対処法

自分のアイデアを守りたいのは自然なことですが、プロジェクトを改善する、「救う」可能性のある、チームメイトからの貴重なフィードバックを遠ざけてしまうこともあります。

エゴは脇に置き、他の人と一緒にアイデアを成熟させ、育てるのです。

2.注意バイアス

Dogs and owners

注意バイアスとは、繰り返し考えていることに集中する傾向のことです。趣味や関心事が重荷になることがあります。

たとえば、流行に敏感な「ファッショニスタ」なら、世界がキャットウォークの延長のように見えます。タイポグラフィに目がない人は、道路標識、本のページ、お店の看板など、見るものすべてのレディング(行送り)、カーニング(字詰め)、ウェイトが気になるでしょう。「ハンマーを持った男にはどんな問題も釘に見える」ということです。

仕事にまつわる事柄に関心を持ったり、夢中になったりするのは問題ありませんが、思考停止につながることがあります。タイポグラフィに執着するあまり、写真をとり入れたすばらしいデザインの解決策を見逃してしまうこともあるのです。

注意バイアスの対処法

視野を広げる最適な方法は、自分のフィールド外、思考外の情報を探すことです。他業種や他分野、違うことに関心を持っている人にアプローチして、抱えている問題をじっくり話し合ってみてください。

自分とはちがう考え方をする人のインプットや視点が「必要」なのです。シンプルなユーザーテスティングサービス「Peek」で、Webサイトをどのように見て、ナビゲートしているのかテストするのもいいでしょう。

3.奇異性効果

Non-conventional settings and pricing can get cut-through.

奇異性効果とは、私たちが強みとして使える認知バイアスです。奇妙なものや奇抜なものは記憶に残りやすく、注目を引きやすい傾向のことです。

一見ごく普通のコンテンツでも、奇抜なものを少し配置するだけでユーザーの注意を引きつけられる場合があります。Hathawayの雑誌広告の眼帯をつけた男性がその良い例です。

一方、大変な成功を収めたコマーシャル、Old Spiceは、奇妙さがCM全体を津波のように覆っています。バスルームで撮影された普通の香水の広告セットが、突如現実のルールを破ります。

これはマーケティングや製品の価格を決定する際にも使える戦略です。ほとんどの製品は99ドルや50ドル、または14.95ドルといった予測しやすい価格にしています。一方で、3.44ドル、57ドル、2913ドルという価格はまれです。Hostingerはこの奇異性効果を価格の戦略に活用し、月額購読を2.15ドルから開始できるようにしています。

デザイナーが得られる教訓

本当の価値を考慮しなければ、「デフォルトでデザインする」罠に陥ります。カスタマーに製品を意識させたいなら、奇数や奇抜な数字を混ぜると得策です。注目を集めれば、奇妙な性質が功を奏し、もっと記憶に残ります。

4.選択支持バイアス

Data

選択支持バイアスとは、実際の選択が、別の選択肢よりも正しかったと考える傾向です。たとえば、「カジノでの調子はどうだったか」と聞くと、たいていの場合「とんとんだったよ」と返ってきます。カジノは儲かっているので、そう答える人のほとんどは負けているのです。このバイアスは、「失敗をした思い出にエネルギーを費やしたい人はいない」というシンプルなものです。

悲しいことに、プロダクトデザインでは、このバイアスが悪影響を及ぼすことがあります。「第六感」よりも厳密なデータを信じることが大切なのはそのためです。データはあなたがどう感じても変わりません。

選択支持バイアスの克服方法

プロジェクトとチームの進捗状況を詳細に記録するか、量的なデータでユーザーテストを頻繁に実施します。先ほど紹介したPeekがおすすめです。

5.ダニング=クルーガー効果(過大評価・過小評価効果)

ダニング=クルーガー効果は、スキルがないため、そのスキルを過大評価したり、逆にスキルのある人が過小評価したときに発生します。スキルのない人は、スキルを身につけることがどのようなことか分からないほど無知なのです。さらに、自分がなにを知らないのかすら分からないのです。

ダニング=クルーガー効果の典型的な例に、2010年、教会に通い詰めていた老齢の信者が教会の有名なフレスコ画を自分で修復すると請け負い、結果めちゃくちゃにしてしまった事件があります。

Ecce Homo by 19th-century painter Elías García Martínez on the walls of the church of Santuario de Misericordia

悲しいことですが、自己評価なしの決断は往々にして避けられません。自分が素人なのか玄人なのか立ち位置を知ることが大切です。

ダニング=クルーガー効果を避けるには?

自分に正直になってください。スキルが限られているのなら、自分の知らないことや不確かなことはサポートを求めてください。間違ったりひどい決断を下したりするよりもはるかに良い結果になります。専門スキルを持っている場合は別です。自分をまったく査定しなくても、きちんとした決定をできるだけの経験を積んできたのだと理解してください。

6. アンカリング効果

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画像出典:ボックス

アンカリングとは、最初に得られた情報が決断する内容に関連しているか問わず、意志の決定時に頼りすぎてしまう傾向です。

あるアイテムの入札額をトランプを引いて決めたとします。トランプの数字が大きいほどアイテムの入札額は上がり、小さければ低くなります。はじめの数字が最終的な金額に影響するのです。

アンカリング効果を活用するには?

アンカリング効果は、マーケティングやコンバージョンに使える戦略です。たとえば、Box(オンラインストレージ)は色と「一番人気」というソーシャルプルーフラベルでビジネスプランを強調しています。はじめて訪れたユーザーにとって、ビジネスプランが基準になります。

7. フレーミング効果

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画像出典:アップル

フレーミング効果とは、情報がどのように伝えられているか、または「フレーミングされているか」によって、同一の情報から異なる結論を引き出すテクニックです。

製品販売やピッチ、コンバージョン、マーケティング、製品デザインにも欠かせないテクニックです。マーケティングキャンペーンや製品に関するメッセージのフレーミングの世界的に有名な例がアップルです。

iPhoneは薄いですが、世界最薄の携帯電話ではありません。「世界で7番目に薄いの携帯電話」とマーケティングしたところでインパクトはさほどありません。しかし、リフレーミングしたらどうでしょうか。「過去最薄のiPhone」。事実ですし、魅力的に見えますよね。

本質的には、アップルは自社でコントロールできる「競合内容を選び」、勝利を見せつけただけなのです。

当然のことですが、機能や製品ではなく、カスタマーの望みや欲求に常に焦点を絞るべきです。

フレーミング効果を活用するには?

ユーザーが製品とどう向き合うかは、どう製品をフレーミングしてユーザーに提示するか、と同じです。視点によってカスタマーの決断や感じ方が先に進んだり、妨げられたりと変わることがあるので、賢くフレーミングを選んでください。

最後に

認知バイアスは恥ずかしいものではありません。人間らしさの一部分であり、だれにでもあります。デザイン決定におよぼす影響を知らないと大きな問題になるだけです。

よくあるバイアスにスポットライトを当て、仕事への悪影響を緩和してくれるツールを紹介しました。

(原文:7 Proven Cognitive Biases (And How They Impact Your Design)

[翻訳:加藤由佳/編集:Livit

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Tomas Laurinavicius

Tomas Laurinavicius

リトアニア出身のライフスタイル起業家かつブロガーで生活習慣やライフスタイルデザイン、起業家精神について記事執筆をしています。現在は100万人のライフスタイル改善をミッションに全世界を旅行中です。

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