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コンテンツファーストでECサイトを立ち上げる6つのステップ

2016年04月04日 03時15分更新

文●Darren DeMatas

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ECを始めるのは、いまがまさに理想的なタイミングです。米国のB2CのECの売上は、2010年からほぼ倍増しており、2015年には推定3470億ドルになりました。全世界のECの売上は、2015年の1兆6720億ドルから、2019年には3兆5000億ドルへと倍増する見込みです。

技術の進歩により、ECビジネスは簡単に始められるようになったにもかかわらず、新規ビジネスの90%が立ち上げ直後に失敗しています。単に商品をサイトに掲載するだけではダメだということです。

よっぽど利益率の高い商品を扱うか、もしくは広告予算に恵まれている場合を除けば、ECビジネスは、商品ではなく「人」を中心に考える必要があります。なぜ、商品ではなく人を中心に着手すべきか? を説明しましょう。

  • 不適切な商品を選んでしまうと、時間とお金を無駄になる
  • ペルソナを固定すれば、長期間にわたって複数の商品を販売できる
  • コンテンツ(商品ではなく)を推し進めれば、トラフィックと牽引力を構築しやすい
  • トレンドが変わっても、すぐに方向転換できる
  • 適切な商品を検討するための若干の時間的余裕がもてる

本当にユニークな商品アイデアを持っていて、Kickstarterの支援金でそのアイデアに取り組めるならすぐに着手するべきでしょう。でも、もし何を売るべきかはっきりと確信できずにいるなら、「コンテンツファースト」のアプローチこそ、急速に成長している市場で成功をおさめるための確実な方法なのです。

コンテンツファーストのECを立ち上げる、6つのステップを説明します。

アクション1:ペルソナを活用する

ペルソナを語らずして、コンテンツマーケティングについて語れません。ペルソナを構築し、アップセルやクロスセルの戦略を打ち出します。ペルソナ作りは、商品を生産したり、最初の投稿を執筆したりする、ずっと前にやるべき作業です。目標は、同じ人に何度も商品を購入してもらうことです。一発屋では長生きできません。構築したペルソナによって潜在力のある商品を見つける、手っ取り早いプロセスを紹介します。

1.Facebook広告マネージャで模擬広告を作成する

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広告ターゲティング機能をロードしたら、自身が構築したペルソナのデモグラフィックと関心分野を入力します。

関心と行動をそれぞれ入力したら、「narrow(絞り込む)」をクリックして「Must Also Match」に追加基準を設定します。この時点ではロケーションを気にしなくてかまいません。ただ、理想とするペルソナ/マーケットに適合する人が最低でも10万人以上いることを確認します。図の例では、マウンテンバイクでのサイクリングやトライアスロンを楽しみ、オンラインでの支出が平均を上回る大卒の女性が11万人います。

2.Amazonで、潜在力のあるクロスセル製品、アップセル製品を見つける

この段階でするべきことは、ペルソナに提供する商品を1つ選ぶだけです。選んだ商品をカートに追加すれば、クロスセルおよびアップセル商品をAmazonが提示してくれます。

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図は、女性用のマウンテンバイクを選んだ結果です。

3.商品がペルソナに合っているか自問する

興味を持った商品を書き留め、「2」の作業を繰り返し、可能性のある商品リストを作成します。

アクション2:ビジネスモデルの概要を作る

ペルソナが一般消費者なのか、法人なのかを決めなければなりません。そのためには、EC市場にファッションデザイナーのようにパーソナル・ブランドとして参入したいのか、企業として参入したいのかを考えなければなりません。

B2BのEC市場はB2Cのほぼ倍の規模ですが、税金、規制、ロジスティクスといった心配すべき課題も多いのです。

販売したい商品の種類(デジタル、物理的、サービス)やどのように調達するかについても検討が必要です。できることは、

  • 自宅で商品を作る
  • 工場で商品を製造する
  • 製造元から卸しで買い、再販する
  • ドロップシッピングで、自分では商品に触れない

もし利益率の高いビジネスを求めるなら、一番のおすすめは自分のブランドを構築すること(商品を作る/商品を製造する)です。しかし、卸し売りとドロップシッピングなら、立ち上げが迅速で、規模の増減にもすばやく対応できます。

アクション3:プロダクト・マーケット・フィットの評価

販売候補となるいくつかの商品の商品価値と競合性を詳しく調べましょう。プロダクト・マーケット・フィットとは、ある商品の市場に自分の商品が勝てるかどうかを見極めるための聞こえのよい呼び方です。見極めるためにもっとも実用的な方法は、キーワード検索です。次のシンプルなプロセスから始めるとよいでしょう。

1.大まかな市場用語をGoogleトレンドに入力する

商品名をそのまま入力してもよいですが、商品の人気は変化しますので、市場を定義するキーワードを使用した方がよいでしょう。下降トレンドにある用語の除外を検討します。

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これらのトレンドを確認後、私が構築したペルソナ「女性のトライアスロン選手」については、「ランニング」に集中するつもりです。

2.Googleキーワードプランナーに市場のキーワードを入力する

自分自身の関心が高いキーワードをプランに追加します。商品、ハウツー、およびコツなど、すべての種類のキーワードが該当します。キーワードを選別する必要はありません。まだブレスト段階なので、50〜100程度のキーワードを考えましょう。終了したら、キーワードをコピーします。

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3.キーワードのランク付け

多くの人が飛ばしてしまいがちなステップですが、飛ばさないでください。SEMRushなどのキーワードランク付けツールに、先にコピーしたキーワードをペーストします。このツールを使うと、キーワードを組織的にランク付けするのがどれほど困難かが分かります。無料で使えるツールなど(Keyword FinderTerm Explorer)もありますが、私は個人的にSEMRushの有料プランを利用しています。

SEMRushは無料でも利用できますが、1日にチェックできるキーワードは10件だけです。

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チェックするキーワードが75件以上になるとランク付けは難しくなる、というのが私の考えです。

アドバイス:商品とカテゴリーのページだけを考えるのはやめましょう。キーワードは、すばらしいブログやガイド、リンク可能な言葉といった財産になります。私は「アメリカのもっとも美しい都市で走っておくべき50のハーフマラソン」を制作したい気持ちに駆られています。

4.商品価値を確認する

最後のステップは、商品価値をキーワードから確認することです。もっともスムーズなのは、SEMRushのキーワードリストを精査することです。そこから、SEO難易度、検索ボリューム、CPCがわかります。

CPCに検索ボリュームをかけると、商品価値の推定値がわかります。商品価値の推定値を高い順から並べ替え、SEO難易度がもっとも低いキーワードを見つけましょう。

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このデータを見て、私は「女性用のマウンテンバイク」に対して「trail running(トレイル・ランニング)」を優先するつもりです。

5.絞り込む

すべての商品と市場に対して、以上の4つのステップを適用します。その中から、商品価値が高く、難易度が低いものを優先します。キーワード検索のポイントは、コンテンツとコンテンツに関係するSEOで勝利できる市場を見つけ出すことです。商品価値のない市場に参入するのは、ちょっと無意味ですよね。コンテンツマーケティングは長期的な取り組みなのです。

アクション4:少なくとも2つの媒体でコンテンツをプロデュースする

最近は、ブログだけでは十分ではありません。消費者の心を本当にとらえるためには、別のメディアを通じて消費者を魅了する必要があります。音楽や動画をマーケティング・ミックスに加えるのは、消費者と結びつくための強力な手法です。そのためには、ある程度の作業と一貫した露出スケジュールが必要なのです。

ゼロからの起業、とはこういうことですよね。腕まくりをして、お金ではなく、時間を投資するのです。ポッドキャストを始めて、宣伝するのは比較的安価ですが、動画コンテンツマーケティングはECにとってより効果的な様子です。以下にコンテンツマーケティングの成功例を3つ挙げます:

  1. Slikhaarshopは、ヘアケア製品の卸売/ドロップシッピングの企業です。Instagramのフォロワー数は35万人、YouTubeのチャンネル登録者は100万人です。Slikhaarshopは毎週エピソードを1つずつ掲載しています。彼らのペルソナは非常に具体的です。
  2. Think Geekには、YouTubeのチャンネル登録者が17万6000人います。彼らの製品は日常的に1万回以上共有されています。この商品にいたっては、10万回以上共有されています!
  3. REIのECブログは、私が見た中でもトップクラスです。電気に頼らない自力のバックパック旅行といった、非常に魅力的なライフスタイル指南でSEOに圧勝しています。

コンテンツマーケティングの要点は、消費者の要望に応えてトラフィックとバックリンクを生み出すことです。これを正確に理解できないと、他のことに進む必要はありません。レモンスタンドについての私の記事を読んで、コンテンツを使ってリンクを生むコツを取得してください。

アクション5:商品テストをする

サイト訪問者に商品の定義と商品作りを手伝ってもらうのが、もっともシンプルな商品テストです。特にEラーニングのようなデジタル商品の場合に有効です。

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Remoters.netは、直接、サイト訪問者に商品作りの手助けを頼んでいます。もしビジネスに集中していて商品作り自体には資源を投資したくない場合、アフィリエイト・マーケテイングを利用して購入してくれる可能性がある商品かどうかのテストをします。

「好感触を得ている商品」がある場合は、ドロップシッピングで実験できます。ただし、ベンダーと顧客との注文のやりとりに人手が必要になることは覚悟しましょう。良いと考えている商品があるなら、お店を立ち上げましょう。

でも、札束はすぐに消えて無くなってしまうでしょう。1回購入してもらうのに、消費者は4.5回のブランド体験が必要なのです。コンテンツマーケティングを通じたブランディングが非常に重要なのはこのためです。

アクション6:ストアを立ち上げる

初期の段階では、「購入する」ボタンは必要ありません。商業化されたサイトは、立ち上げたサイトをインフルエンサーやブロガーに宣伝したり、バックリンクを非常に困難にします。競争においては、私は背後からこっそり忍び寄るのが好きなのです!

Shopify or やBigCommerceといったSaaSのプラットフォーム(価格は月29ドルから)には、ホスティングが組み込まれています。しかし、もし独自ドメインでWordPressを使って始めたければ、販売準備ができたときに、WooCommerceやPrestashopといった無料のプラットフォームを使えます。

WordPressのECプラットフォームは無料ですが、ホスティングは有料です。WordPressのホスティング価格ガイドはすべてが1回で終わるように上手にまとめられています。ペルソナによって分かった、特定の消費者にアピールするコンテンツで(消費者が買う気になる前に)、ストアへ誘導します。

広く一般の人を相手にするコンテンツでAmazonと価格競争をしながら、商売をするよりずっと良いですね。10%の成功者になりましょう!

(原文:How to Start a Content-First eCommerce Business

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