イメージソースのイベントで体感した、AR/MR活用のこれからのカタチ

2017/10/17

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最新技術を使ったイメージソースの取り組みを体験できる「IMG SRC PROTOTYPES」でARやMRの展望をうかがいました。

「ドコモの学割Flip-Dot」やティファニー銀座本店で開催された「Hand meets Hand」など、世界的にも評価の高い最先端の体験型インスタレーションを数多く手掛けるIMG SRC(以下、イメージソース)。イメージソースが手がける最新技術を体験できるイベント「IMG SRC PROTOTYPES 201708」に参加しました。

全日20組ほどの予約が入っており、伺った日も列ができるほどの大盛況でした。業界関係者の方々はもちろん、最新技術に興味のある学生の姿も目立ちました。

業界のみならず、一般ユーザーからも動向が注目される本イベントでは、HoloLensを使った「HOLOTAMA」と、Google Tangoを使った「MIXED SIGNAGE」の2種類を体験しました。さらに、特別に今回のプロジェクトや今後の展望を詳しく伺いました。

HOLOTAMA―コントローラーから開発された新感覚HoloLens体験

HoloLensとは、Microsoft社が開発しているヘッドマウントディスプレイ方式の拡張現実ウェアラブルデバイスです。仮想空間に入るVRとは異なり、HoloLensのヘッドマウントディスプレイを装着すると、自分がいる空間にバーチャルなギミックを融合させることができます。

VR体験会ではおなじみのニンジャマスクも装着

実際に体験すると、自分がいる世界にそこにないはずのものが次々と現れるため、不思議な感覚に鼓動が上がりました。

今回、イメージソースが開発に挑戦したHOLOTAMAは、HoloLens専用の球体コントローラーです。両手に持って振ったり回したりすると、HoloLensを通してみる日常空間に様々な柄と音が目の前に飛び出してきます。


コントローラーは、白と黒の2種類あり、白いほうが8通り、黒いほうがで3通り、掛け合わせで合計24通りの柄を出すことが可能です。

HoloLensは目元のグラス部分に映像が映し出されるため、視野角が狭い弱点がありますが、HOLOTAMAでは、HoloLensの映像や音が現実空間に融けあう感じを活かしながら、視野角の狭さとインタラクションの少なさを補っており、しっかり没入感を感じられるようになっています。

コントローラーを球体にした理由

気になったことが2つありました。1つ目は、なぜコントローラーから開発しようと思ったのかです。

テクニカルディレクターの吉井さんにうかがうと「厳密にいうと、コントローラーから開発しようとした訳ではないですが、インターフェースからアプリケーションを考えたり、アプリケーションからインターフェースを考えたりを交互に繰り返して、何かを生み出していくという取り組みの一環としています。あと、HoloLensを使おうとするとインタラクションが少ないので、無いなら自作して増やすという試みでもあります」とのことです。

テクニカルディレクター 吉井正宣さん

2つ目に気になった、コントローラーの形を球体にした理由は、「まず方向性として、現時点で最適と思えるものではなく、実験的で今後の新しい可能性を探れるものの開発を目指しました。また、プリミティブな形状をインターフェースに活かせないか、というテーマが裏に流れていて、今回はそれの第一弾として球状のものにしました。さらに、ボタンなどをつけないのは、より実験的なものにするためです」とのこと。言葉のとおり、今まで見たことのない、シンプルかつ楽しめるコントローラーになっています。

実際にHOLOTAMAを体験してみて一番感じたことは、シンプルなのにやればやるほど楽しくなることでした。そこで、開発する際に一番こだわったところを伺うと、「コントローラーは、楽器のように習熟が必要ですが、慣れると楽しさが出てくるような絶妙な操作性を出すことにこだわりました。少し操作が難しいですが、今のままにしたのは、今後の応用や展開を念頭に置いたものとなっているからです」とのことです。あえて未完成にしたところに、自然と未来を感じ、心がワクワクしたのだと思いました。

さらに、基礎的なリサーチや、勉強を含めてたったの2ヶ月で完成させたというHOLOTAMAの開発で難しかった点を伺うと、「HoloLensの視野角の狭さとインタラクションの少なさをいかに補うかでした。さらに、単純な工数面では、UWP(Universal Windows Platform:Windows 10で提供される、アプリケーション実行環境)とBLE(Bluetooth Low Energy)を連携することがなかなか上手くいかず、時間がかかりました」と。その他にも、全く新しい技術を用いた試みには欠かせないエピソードは尽きないようです。

MIXED SIGNAGE―ポジショントラッキング不要のMR

もう1つ展示されていたMR(Mixed Reality)のサイネージという意味が込められている「MIXED SIGNAGE」を体験しました。
会場には大きなスクリーンが用意されており、カラフルでシンプルな映像が流れ、そこにデバイスをかざすと映像からエフェクトが飛び出してきました。

プロジェクトに使用されたのが、Googleが開発したAR技術「Tango」搭載のLenovo社のデバイスです。これは、スマートフォンを現実空間にかざすと、画面の中に現実空間を3DCGとして認識させることができます。

Google Tangoを使用した理由は、「MRを表現できるGoogle Tangoという技術があり、元々考えていたサイネージのデザインや技術をGoogle Tangoと融合させたら、また違ったサイネージの使い方が提案できるのではないか」との考えから開発に至ったそうです。

実際に体験すると、自分の視野全体には変化は起きないにも関わらず、デバイスをのぞき込むと、会場に設置されたスクリーンの映像から花びらや雨粒といったとてもリアルなエフェクトが飛び出してきて、今まで感じたことのない感覚が楽しめます。

特に、雨粒が水たまりになって行くさまは、思わず画面を外して濡れていないか確認してしまうほどのリアルさでした。画面の中の家具に当たると儚く割れてしまうしゃぼん玉は、壁の裏側や吹き抜けへ割れずに飛び続けることができるので、成功したときは子どものように大喜びしてしまいました(笑)。

ポジショントラッキングを使わない理由

VRを使用する際、空間の大きさやコントローラーをトラッキングして体験することが多いのですが、「MIXED SIGNAGE」で使用するTangoは、ポジショントラッキングせずに端末自体が部屋のどこにいるかを認識します。大げさな機械を使わずに体験を演出できるのが特徴です。

体験すると、エフェクトが椅子や壁に跳ね返ったり、天井に当たったりしていました。デザインエンジニアの中島さんにうかがうと「このデバイスには深度を測ることができるカメラがついていて、赤外線の照射により、リアルタイムにイスや机の位置などを把握している。」とのことでした。

デザインエンジニア 中島啓舟さん

普段、HTC Viveを使用している私としては、最初のポジショントラッキングの手間がないということに驚きました。今後すべてのデバイスに標準搭載してほしいと思いました(笑)。

MIXED SIGNAGEのお気に入りポイントは技術だけはありません。最初に目を引くのは、何と言ってもシンプルなのにポップでおしゃれな映像です。どのように作られたのか聞いてみると、デザイナーの大塚さんからは意外な答えが返ってきました。

デザイナー 大塚和也さん

「映像専門の会社ではないので、すごく凝ったものを作るよりは、安い小物を使いながらもポップな雰囲気になるように、工夫しながら社内で撮影しました」と聞いてびっくりしました。女子高生の発想ですね(笑)。

デザインの完成度の高さはもちろんですが、試作の段階から一貫してデザインやUX/UIでユーザーの心を動かすものづくりの姿勢が伺えるエピソードでした。

気になる今後の展開 企業向けと一般向け

VR(Virtual Reality : 仮想現実:バーチャルリアリティ)、AR(Augmented Reality : 拡張現実)、MR(Mixed Reality : 複合現実)などが、一般や企業向けへに様々な展開がされていっていますが、イメージソースはこれらの最新技術をどう考えているのでしょうか。

HOLOTAMAは、「コントローラーは、別の形状でそれぞれ異なる機能をもったインタフェースとして派生させていきます。それに応じて、アプリケーションもドローイングやより楽器に近いもの、新しい情報の見せ方を示せるようなコンテンツもつくりたいですね。もちろん、HoloLens以外のデバイスへ応用も予定しています」と今後のステップもうかがいました。

絶妙な操作性がクセになるHOLOTAMAは、イメージソースが得意とする体験型インスタレーションやへの展開が期待できそうです。IoTデバイスと連動してに使われるのも楽しそうだと感じました。

一方で、対応端末がまだまだ限定的なMIXED SIGNAGEはどう展開するのでしょうか。
「ポスターや絵などからエフェクトを出すことが出来るので、イベントや商業施設との相性はとても良いと考えています。例えば映画館でポスターを映すと、告知映像が流れて今日みたい映画を決めることが出来るとか。Tangoがもっと普及すれば、パブリックでもこういった機能が活用されると思っています」と期待を込めて話していました。

Google社が先日発表したAndroidスマートフォンでもAR機能を使えるようにする新しいSDK「ARCore」と異なり、Tangoは赤外線カメラなどのハードウェアに制約がある点が普及のカギと言えます。

GoogleのAR技術「ARCore」とは? ARKitとともに始まるARの爆発的普及期 – engadget
http://japanese.engadget.com/2017/09/04/google-ar-arcore-arkit-ar/

昨今高まっているさまざまな分野におけるARのニーズを考えると、アップル社ARKitとの開発競争による「スマホAR」で市場を広げ、空間構造を精緻に把握することが可能なTangoをはじめとした技術でARの精度の高める濃淡をつけながら、ARプラットフォームの整備と市場の拡大は急速に進むことも遠い未来の話ではなさそうです。

ARだけではなく、新しい技術に触れるたび、今以上にどんどん新しい技術が台頭し、これから更に急進していく技術革新に、遅れを取らず追随していくにはどうしたらいいかと考えさせられます。
プロトタイピングを意識的に継続して取り込んでいく実践と実験の場や「ちょっと先の未来に対して、ちょっとずつ今やってみる」ことが、ますます重要になるのではないかと感じました。

(記事提供:D2Cスマイル

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